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熊平美香「リフレクション 自分とチームの成長を加速させる内省の技術」

・本書は、自ら定めた目的を実現するために学び続ける「自律型人材」の育成に取り組む著者が、最も重視しているもののひとつである「リフレクション」の概要ならびに実践方法を紹介した1冊。

・リフレクション(Reflection)=「自分の内面を客観的、批判的に振り返る行為」であり、経済産業省が提唱する「人生100年時代の社会人基礎力」の中でも、あらゆるスキル習得の前提となる力として注目されている。リフレクションの目的は、あらゆる経験から学び、未来に活かすこと。このスキルを応用していくことにより、自分自身だけでなく、他者への理解を深めて、成長を促進したり、組織をまとめるリーダーシップを育むことができる。
このリフレクションの基本メソッドは、
①自分を知る
②ビジョンを形成する
③経験から学ぶ
④多様な世界から学ぶ
⑤アンラーンする(学んだことを手放す)
である。

・リフレクションの質を高めるために、認知の4点セットのフレームワークを使って「意見」「経験」「感情」「価値観」を切り分ける習慣を持つこと。例えば、犬に対する「好き」「嫌い」という認知について考えた際、写真のような枠になっている。認知の4点セットでリクレクションを共有すると、他者との違いが明確になり、人間の認知の多様性に驚かされることばかりである。なので、一人きりで行うだけでなく、チームメンバーなどの同じ経験を共有する人たちとリクレクションをすることで、自分とは違うものの見方から学ぶことができる。

・リフレクションと反省は、過去の経験を振り返る行為であるが、振り返る目的が違う。リフレクションの目的は、経験からの学びを未来に活かすことである。リフレクションの前提には、「成功しても、失敗しても、いずれにしても、経験したことからこそ知っていることがある、経験を知恵に変えることができる」という信念がある。リフレクションを行うのは、経験を通して賢くなりつづけるためである。良質なリフレクションを行えば、成功も失敗も、その経験を叡智に発展させることができる。なので、失敗をポジティブな気持ちで振り返る力が欠かせない。何かにチャレンジして失敗したときに、「できない」と思い込むのか、「これからできるようになる」と可能性に目を向けるのかで、経験から得られる学びの質が変わる。

・リフレクションの基本のメソッドのひとつである「アンラーン」は、過去の学び(成功体験)を手放す行為である。アンラーンは、キャリアが進めるにつれ、その重要性が増すのだ。成長意欲や上昇志向が強く、掲げる目標が高い人、あるいは今までとは異なる規模のものにチャレンジしようとしている人は特に、自己変容の習慣が欠かせない。大抵の場合、ステージが変わるごとに過去の成功体験を手放し、新たなものの見方を手に入れることが必要になるはず。過去の成功体験を賞賛しつつ、前向きに自己変容に臨むことができる人だけが、成長し続けることができ、自分の望むものを手に入れることができる。

・本書では、リクレクションの基本のメソッド(自分を知る・ビジョンを形成する・経験から学ぶ・多様な世界から学ぶ・アンラーンする)の詳細から始まり、オーセンティック(正真正銘)なリーダーになるための方法(ぶれない軸の持ち方・心の扱い方など)、自律型学習者の育て方(相手の強みの引き出し方・成長支援など)など、個人と組織のあらゆるシーンで活用できるリフレクションの活用方法について紹介した内容となっている。

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