ジャン・ミシェル・フォロン展をみて。

雨粒が窓を伝う音で目を覚ました。ベッドの中で瞼を開けると、灰色の空が視界に入る。ロンドンの朝だ。時計を見ると6時27分。まだ少し早い。

布団の中で身体を丸め、雨音に耳を澄ます。ポツポツ、ザーザー、時折強くなったり弱くなったりする音が、不思議と心地よい。この音を聞いていると、日本の実家で過ごした雨の日々を思い出す。

ふと、昨日の夜に書きかけた原稿のことが頭をよぎる。締め切りまであと3日。少し息苦しさを感じる。でも、その感覚はすぐに雨音に溶けていく。

そうだ。仕事は雨みたいなものだ。

耳を手で塞いで閉じこもっても、雨は降り続ける。だけど、傘をさして外に出れば、新鮮な空気を吸い込める。雨に打たれながら歩くことで、気分も変わる。

7時になり、ようやくベッドから抜け出す。カーテンを開け、窓越しに外を眺める。雨に濡れた街並みが、いつもと少し違って見える。濡れたアスファルトが鈍く光り、通りを行き交う人々の傘が色とりどりの花のよう。

キッチンに向かい、コーヒーを入れる。豆を挽く音が部屋に響く。その間にも、頭の中では仕事のアイデアが少しずつ形になっていく。

コーヒーを片手に、書斎の窓際に座る。雨粒で曇った窓ガラスに指で文字を書く。「Work is like rain」

そうだ。仕事も雨と同じ。時に激しく降り注ぎ、時にしとしとと降り続ける。でも、その中にも美しさがある。雨が大地を潤すように、仕事も自分を成長させてくれる。

パソコンの電源を入れ、昨日の原稿を開く。キーボードを叩く音と雨音が重なり、心地よいリズムを刻む。言葉が、雨のように流れ出す。

時折、目線を上げて窓の外を見る。雨脚が少し弱まってきた。空の隙間から、かすかに青さが覗く。

仕事も、人生も、まさに天気のようだ。晴れの日もあれば、雨の日もある。でも、どちらも必要なんだ。

コーヒーを一口飲み、深呼吸をする。雨の香りと、コーヒーの香りが混ざる。

さあ、今日も一日、雨の中を歩こう。傘を差して、新しい景色を見つけに行こう。

そう思いながら、再びキーボードに向かう。指先から言葉が溢れ出す。まるで、雨のように。​​​​​​​​​​​​​​​​

Atogaki

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はじめまして、Ichiです。ロンドンを拠点に活動するフリーランスのライターです。日常の小さな発見や、文化の狭間で感じる思いを言葉にすること…

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