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捨てられないどころか、モノを使えない人たちのこと

好きであればあるほど、また思い入れがあればあるほど、「モノ」を使えなくなったりする。


この前、会社の人とライブなどで買うグッズの話をしていた。

「ライブグッズのタオルとか、全然使えなくない?」と言うと、後輩から「わかります、使えないです」との共感を得た。


わたしの家には、去年の夏に買って洗濯してから、1度も使っていないタオルがある。音楽イベントで買ったフェイスタオルで、数名のイラストレーターがコラボしたイラストが描いてある。

冷静に考えて、タオルなんて「モノ」のなかでもとても実用的なものだし、使わずに置いておくなんて、という気もしなくもない。

思い入れがない人からすれば、他のタオルと全く変わらないわけで。もしそれに思い入れがない人、例えば、事情を知らないわたしの母がそのタオルを見つけたら、なんの気にも止めず手拭きに使うと思う。

でも、ダメなのだ。わたしにはそれができない。

だからそのタオルは、おそらく1度も使われないまま収納ケースの下の方に眠っていた。


とはいえ、好きなグッズを使えないのはわたしだけじゃくて、同じような人はたくさんいるらしい。

「アニメイトで、クリアファイルを保存するクリアファイルが売っているんですよ」

と後輩の女の子が教えてくれた。

オタクは、(おそらく尊すぎて)使えないファイルをたくさん持っていて、それを保存する専用ファイルがあるのだという。

それを聞いて、めちゃめちゃ笑ってしまった。

ファイルもタオルと一緒で実用的なもののはずなのに、書類をファイルするどころかファイル自体をファイルしてしているんだから、面白すぎる。


「買ったのに使えない」という事象は、わたし含めグッズを買いがちなオタクだけの話かというと、そうでもない気がする。

モノはそれぞれ違うだろうけど、「勿体なくてなかなか使えない」とか、「結局保存しちゃう」とかそういうの、人間らしくてとても好きだ。


今日の朝、例のタオルを久しぶりに洗濯した。

ずっと閉まってあるのもな〜という気持ちになって引っ張りだしてきたのだ。

今まで使ってないし、これから特に使う予定もないタオルが家に干してある。なんだか笑える。


#エッセイ

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