梅雨入りと短編映画の日

今日は書くべき原稿がぜんぜん進まなかった。ひどく寒い雨の日だったからかなあなんて、天気を言い訳にしてる自分がいる。すぐにやる気が出る方法ってぜんぜん見つからないのに、やる気出ない理由はいくらでも作れてしまう。

そういえば、気象庁から「関東甲信が梅雨入りしたとみられる」と発表があったというニュースを見た。公式発表なのに、公式らしくない曖昧さ。こういうときの「梅雨入り」は、後で修正になったり取り消しになったりすることもあるらしい。暫定的だからこういう表現をするのだということを、ウェザーニュースの記事で初めて知った。


やる気出ない時間が長かった今日は、原稿を中断して映画を観るなどしてしまった。観たのは、片山慎三監督の「そこにいた男」。

最初のシーンで映し出されるのは、マンションのエレベーターホール。意識がもうろうとした状態かつ血まみれで倒れてる男性の傍に、座り込む女性がいる。彼女も同じく血まみれで、電話を片手にタバコをふかしている。そんな強烈なシーンから始まる映画だ。

上映時間約30分のショートムービーなので、さくっと観られるのがいろんな意味でよかった。約30分という長さは、「仕事の休憩がてら……」と自分を納得させ罪悪感を薄めてくれる。

強烈なインパクトを残した事件を思い出すシーンから始まる映画だけど、事件とはまた違う描写とストーリーになっている。好き嫌いはあるだろうけど、個人的には好きな作品だった。

短い映画ながらも、ところどころに工夫やアイデアが散りばめられているのがわかった。

そういう作品に触れるたび、「自分ももっとできるはずなのに、やってないのでは?」という気持ちになる。どんな制限があろうと、どんな状況だろうと、最善を尽くそうとするからいいものができる。当たり前といえばそれまでだけど、最善を尽くした工夫やアイデアの跡が残る作品にはいつも胸を打たれる。

「さがす」「岬の兄妹」と同じく片山慎三監督の映画を観たうえで「そこにいた男」を観て、わたしは片山監督の作品が好きだなと確信した。撮り方や演出も印象的で光るものがあるし、なにより出てくる人間が生っぽくて好き。人間の綺麗なところも、きたないところも、どこか憎めないところも含めて、自分が思う「人間が好き」に近いものを見せてくれている感覚。

「さがす」「岬の兄妹」「そこにいた男」ぜんぶ重めのストーリーなので安易には勧められないけれど、最近ハマった映画監督を挙げるならば、迷いなく片山監督と答えたい。


映画(主に邦画)を観るのは好きだから、映画関連の取材や執筆ができたら楽しいだろうな、とひっそり思う。でもこうやって自分勝手に感覚的なことばっかり書いてしまうので、少なくとも映画レビューは難しそう。自分だけの感覚的な好きで完結させずに、それを相手にも伝えて好きになってもらえる文章を書けたら、本当はもっといいのだけど。

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