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モンゴルホーミーの映画『チャンドマニ ~モンゴル・ホーミーの源流へ~』

人体の神秘、ホーミー♪

初めてホーミーという歌唱法があることを知ったのは何かの本の中で、どういうことなのかイメージできなかった。
その後、音声で聴いた時に、なんで1人の人間から同時にふたつの歌声が出せるのか不思議でならなかった。

一度にふたつの音を出すしくみについての説明を読むとそういうことねと思うけど、響きの神秘さには変わりない。

ホーミーはモンゴルの歌唱法で、このホーミーをテーマに現代モンゴルの姿を描いた映画作品『チャンドマニ ~モンゴル・ホーミーの源流へ~』(2009)を鑑賞。

タイトルのチャンドマニ(андманЬ)は、首都ウランバートルから西へ約1500km、現代ホーミーの故郷と言われるチャンドマニ村(ホブド県チャンドマン郡)のこと。

チャンドマニ出身でウランバートルで働く青年ザヤーは、ホーミーの名人で遊牧民として暮らす父を持ち、自身もホーミーを歌う。
都会生活が半年になる頃、遊牧生活をしている友人のもとを訪ね、自分には都会よりも草原の暮らしが合っていると感じたザヤーは、チャンドマニ村へ帰ることにする。

一方、ウランバートルの民族芸能劇場で活躍する青年ダワースレンもホーミーの歌い手。ホーミーの発祥地がチャンドマニ村であることを知り、村へ行ってみることにする。

2人の青年は、ウランバートルからホブドへ向かうミニバスに乗り合わせる…

というストーリー。
青年たちにフォーカスしながら、途中でホーミーや民謡オルティンドーなど、モンゴルの伝統歌唱や伝統楽器の音楽が挟まれ、ドキュメンタリーであり音楽映画でもあり、ロードムービーにもなっている。

ウランバートルからホブドまでは飛行機だと3時間ほどだが、バスだと2日かかる。
このバス旅、映画の中では乗客がタイヤ交換を手伝ったり、車が雪にはまって動かなくなるとまた乗客みんなで車を押したり、車内でみんなで歌い出したり、お菓子を分けあって美味しそうに食べたりと、こんな旅がしてみたいと思うような旅だ。

ただし監督の話では、映画だと乗客は8人だが、実際には膝の上に人が乗ったりしてこの3倍くらいの人数が乗るということなので、けっこう過酷な旅なのかもしれない。

それにしても、モンゴルは以前から行ってみたいと思っている国のひとつだけれど、この映画を見たらやっぱり、草原を駆けて大声で歌ってゲルに泊まりたい!草原で生のホーミーを聴いてみたい!と思った。

上映会の会場は東京外国語大学。
外語大ではときどきこういった、世界の諸言語による映画の上映会・トークセッションを行う「TUFS Cinema」というイベントが開催されていて、気になる作品ばかりだし無料なのがうれしい!

今回の上映後には、外語大研究員の上村明さんによるモンゴルの喉歌についての解説、モンゴル民謡歌手の伊藤麻衣子さんによるオルティンドーミニコンサート、そしてこの映画の監督である亀井岳さん&上村さん&伊藤さんのトークセッションもあり、大充実イベントだった。

上村さんの解説の中で、現代モンゴル音楽におけるホーミーの展開として紹介されていた、ホーミーを楽曲に取り入れたロックやヒップホップがかっこよかった♪

↓そのうちの一部

The HU - Wolf Totem (Official music video)

Young Mo'G - Naadii (prod. By MerGEn)


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