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【IGUQUEST】 ー妄想の外伝ー

XENOの想いとそれから


これから紡ぐ物語は、IGU QUESTの物語のそれからを勝手に妄想したXENOというキャラクターの外伝です。
IGU QUESTについて、日本語版(about usチャンネル:igu-quest) と英語版(about usチャンネル:en igu-quest) がありますので、Discordに入るのが条件になりますが、それを読んでから、この妄想外伝をお楽しみください。

Discord は こちら



「もうダメだ・・・・。
やっぱり僕の存在が間違いだった」

IGUが自分をつかまえた瞬間、
ZENOの頭の中を電流が走った。

その電流は、
ZENOが「やっぱり」と確認したことだった。

ずっと自分の存在に疑問を抱いてきた。
なぜ僕がいるのか、と。
ガラスにうっすら映る自分は、
想像していたより暗い色と赤く光る瞳。

どう見ても歓迎されないダークサイド組にいる自分。

ぼんやり宇宙に漂っていればよかった。
あそこに行ってみたい、なんて思わなきゃ、
そんな能力が自分に備わっているなんて 
解からなかった。
解かってしまったら、戻りたいと思うじゃないか、
あの頃に。
美しかった空、楽しかった時間、
ずっと仲良しだった仲間たち。

変わり果てた自分をみたら、
きっとみんなは離れていくだろう。
僕だと知らずに、本当の僕を探し始めるだろう。
どんなに叫んでも、
この体から出てくる声に美しさなんてあるわけない。
真剣に見つめても、
誰もが目をそらしてしまうに決まってる。

それなら、
別の僕になって全て僕のものにしたかったんだよ。
どこにも 誰にも 渡したくなかった。
宝物だったんだよ。

でも そんなこと、ダメな事だってわかっていた。
だから、いつか本当の自分が目の前に現れて
今の僕を消し去ってしまうだろうって解っていたんだ。
僕はこの瞬間が来ることを知っていたし、
ずっと待ってた。

ただ、予想もしてなかったことがあった。
エマのことだ。
エマは絶対に本当の僕と離れることなんて
できないと思っていた。
いつも一緒だったし、
離れてもすぐに元通りに一緒になれたし
お互い磁石か何かでくっついてるって思い込んでた。

そのエマが今、叫んでいる

「私は いいから 行って 離れても 平気だから」

平気なわけないじゃないか。
僕のせいなんだよ、エマ。
僕が壊してしまった世界なんだよ。
君の声が聞こえるなんて、予想もしていなかったんだ。
僕はもう遠いところまで来てしまっていて
君のことは甘い甘い思い出になっていたから。

その瞬間だった。
僕は君の目の前に来れたんだよ。
きっと僕が今の僕になった理由は、
この瞬間のためだった。
自業自得だってわかっているけれど、
僕は君のことが一番大切って気づくために 
こうなったんだ。
僕は最後の最期、本当の自分のことはどうでもよくって
君のことを助けるって決められた。
ありがとう、エマ。
気づかせてくれて。

僕は、エマをポータルに引き込んだ。
エマが嵐で傷つかないように、包み込んだ。
僕たちは爆風で飛ばされる間、一つになってた。
ほんの一瞬だったけれど、僕にとっては永遠だった。
ずっとこうしたかったんだよ、エマ。
二人っきりで宇宙の中で
一つになりたかったんだよ、エマ。
僕の大切なエマ、ずっと僕が守るから。
僕は君に鍵を送るよ。
やり直したいんだ、
僕はもう大切なものがわかったから。
エマ、君に渡すこの鍵で、
僕のストーリーを組みなおしてくれ。
僕にやり直すチャンスをくれ。

君にしかできないことなんだよ。
他の誰でもない、僕の大切な君に、
この宇宙の再生を託すよ。

そうして僕は、エマを包み込んでいた手を解いた。
1つになってた僕たちは、また二人になった。
どうやら僕らは直接話せなくなってしまったみたいだ。
きっとこれは罰だ。
僕があまりに自分のことしか考えてこなかったから。
君は不安そうに僕を見つめているね。
わかるよ、みんなそうだったから。
けれど、君の瞳に宿るあったかい炎は、不安以上に
僕のことを思いやってくれているのはわかる。
言葉なんていらないこともあるんだね。
ありがとう、エマ。

君に渡す鍵は、もう世界の扉を開いたよ。
さぁ、行ってくれ。
君はここから、宇宙の再生を始めていくんだよ。
僕は君を信頼している。
きっと誰にも打ち明けられない秘密を
抱えて生きることになるね、エマ。
でも僕は信じている。
君しかできないんだ。

宇宙で大きな能力を持ってしまったIGUは
時に間違いを犯すこともあるんだ。
けれど、それを正す能力は、小さな光なんだ。
小さいけど、まっすぐで ピュアな キラキラ。
それが君なんだ、エマ。

僕がずっと欲しかったものは、
僕のそばでずっと待ってた。
僕はそれに気づかず、
はしゃいで、跳んで、遊んできた。
僕は自分で気づかないといけなかったんだ。
そのために僕は宇宙を壊してしまったけれど、
エマ、頼むよ。
最後はやっぱり君なんだ。

小さな炎を あの青い場所で 灯して。
あそこにいる人たちは、
まだ何にもわかっていないけれど
宇宙を守れる人たちなんだよ。
何にもできないって思い込んでる人たちなんだけど
本当はすごいんだ。
君はそこで大人になってみて。
恋をして、生命(いのち)を育んでみて。
悩むって素晴らしいことなんだって気づいてみて。


僕はもう行くよ。
大丈夫、本当の僕の中に戻るだけさ。
だって、今なんの能力も使えないだろう?
鍵は君に渡したからね。
ありがとう、エマ。
本当の僕が知らないところで、ずっと君を見てる。
ずっと守るからね。


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