マダム・イン・ニューヨークを観た

あらすじ:インドの主婦、シャシが姪の結婚式のため、家族を離れてニューヨークへ。
英語が話せないことで、夫や娘からバカにされ、肩身の狭い思いをしていたシャシは、ニューヨーク滞在中、家族に内緒で英語教室に行くことに…

というような話。

印象に残った台詞のひとつが、「家族はバカにしない。」

これは、シャシの家族である夫や娘に対する皮肉になっているのと同時に、教室の仲間たち、シャシがニューヨークで見つけた新しい、疑似的「家族」の在り方でもある。

文化が違うけれど、英語を学ぶ同志である。それだけで、ファミリー。

親ガチャという言葉があるように、誰しもの家族が、自分の一番の理解者であってくれるわけではない。

でも、家の外にもファミリーは作れる。自分が尊重されるべき存在だよ、と教えてくれて、何があっても受け入れて、ダメなことは怒って、楽しいことはシェアできる人たちがいる。

シャシの場合、一度家族から離れたことで自分の価値(=self worth)を再発見する。自分がぞんざいに扱われるのに慣れていること、バカにしてくる夫や娘に反論しないことで、自分で「自分は適当に扱われていい存在」というメッセージを自分に送っていることを自覚する。

とっても美しいけれど慎ましく、伝統的なお菓子を作らせたら天下一品、、という、インド版フネさんのような主人公。
でも実は、偏見のない価値観を持った、自立した、若く賢い女性である。

シャシが家で作ったラドゥ(インドのお菓子)を売るというスモールビジネスをしているというと、英語の先生は、じゃあ君はentrepreneur なんだね!という。

スペルも発音も難しいこの単語(「起業家=自分でビジネスをおこす人」の意味)に、生徒が四苦八苦するのも微笑ましいのだが、その場面がめっちゃ好き。。

自分のやっていることに名前がついた。ただの作って売る仕事、それしか能がない、と評価されていた「お仕事」ではなく、ちゃんと誇りをもってやっている、尊重されるべき「仕事」。
そういう見られ方が、Entrepreneurという一語に詰まっている。

日本の女性は、liberatizeされてるかもしれないけれど、やっぱりまだこの、女性は慎ましく、一歩下がる、目立たないようにという価値観は残っていると思う。

そんなことないよね。誰だって、楽しむ権利がある。前に出て、目立つ権利がある。

50代くらいの女性、第二の人生を歩みたい人にもおすすめしたい映画だなと思いました。

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