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Katy Perryと歯列矯正 Katyが私のスターになったわけ

Katy Perryというアメリカのポップスターが歌っている曲で、"Last Friday Night"というのがある。

海外ドラマのGleeが好きな人なら、アーティ役のケビン・マクヘイルとブレイン役のダレン・クリスが出ていることで知っているかもしれない。

直訳するとこの前の金曜日の夜、だろうか。ミュージックビデオを観ると歌詞のストーリーが丸わかりなのだが、中学生の頃の私はこれにかなり勇気をもらった。

ケイティ演じる主人公は、いつもは眼鏡で歯の矯正用のワイヤーをつけていて、髪型もタイトな三つ編みの、典型的オタクなイメージを体現した女の子だ。その子が金曜の夜(つまり週末前でみんな盛り上がってる)のパーティーで、変身してはじけちゃうという内容。

変身前のケイティ演じる主人公。↓


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クレージーだけどアメリカのドラマや映画でありがちなストーリーではある。

でも、ミュージックビデオのたった数秒。その数コマに私は救われた気がしたのだ。

何で救われたかというと、変身した後の、歯列矯正用のワイヤーをつけたままのケイティにである。

当時の私は、歯列矯正を始めようか、どうしようかというところだった。(歯医者に行って、始める方向で話は進んでいた。)けれど、どうしてもあの見た目が嫌だった。周りにも矯正をしている女子はいなかった。

私の歯列矯正のイメージは、ファインディング・ニモに出てくる女の子だ。彼女も歯列矯正用のプラケットをつけているんだけど、歯につけるボタンみたいなのとそれに通してあるワイヤー、プラスあごのまわりにもワイヤーがついている。ケイティの変身前と同じ。

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このキャラクターは凶暴でうるさくて、小さい頃の私にはかなーり強烈なイメージを残した。ニモ目線で描かれているから、余計にこの角度で迫ってくるのも怖いし、Ugly(醜さ)を体現した感じ、というのか。脳裏にこびりついていたのだ。

だから矯正したらいじめられそうで嫌だった。中学生だったし、些細な違いでからかわれやすい年頃かつ環境だった。

けど八重歯があったのでそれをずっとコンプレックスにしていくのも嫌だし、大人になった後の方が矯正は痛いと聞いていたので(歯の位置が動きにくくなるかららしい)、早くやってしまいたかった。

でもあの見た目である。思春期で、ただでさえ見た目コンプレックスが絶えないのに、それに追い打ちをかけるようなもんではないか、と当時の私は思っていたんだと思う。

そこで観たLast Friday NightのMV。変身した後のケイティも、あごのまわりのは取っているけど直接歯についているワイヤーはとっていない。

だけどそれがものすごーく美人なのだ。4分47秒のところの笑顔で私の歯列矯正に対する印象は和らいだ。あ、矯正してても美人になれるんだ。綺麗な人は綺麗なんだ。そう思った。

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ケイティはそのメイクや服装も相まって、矯正器具をアクセサリーみたいに見せている。

感覚的にパァっと道が開けたというか、光がまぶしく差してきた感じだったので、なぜ勇気づけられたのか説明するのは、難しいのだけれど。

もし自分が不動の美、みたいなモノを持っていたら、矯正していてもそれにその美が左右されることはないのだ、というか。

自分のことを綺麗だと思っていたわけではさらさらなくて、これ以上ぶすになるのが嫌だ、と当時思っていた。でも矯正するからぶすになるわけじゃない。他のところで磨けばいいのだと思った(かどうかは時間がたってしまったので定かではないけど)。

これでいいたいのは、美の基準や自分の持っているステレオタイプなんて、一曲のミュージックビデオくらいで変えてしまえるということである。悩みやすい思春期に、多様なモノに触れることで救われる瞬間が、大なり小なりたくさんの人にあると思うし、それは大人になっても同じことなんだと思う。ただ、大人になると考えが凝り固まっていることが多いから、より難しいけれど。

より多くの人、特に悩める思春期の子が、自分の救いになるモノを見つけられればいいなと思う。

結局、中三の受験期から始めた矯正は、高校一年までワイヤーをつけていたけれど、いじめられることはなかった(中学ではマスクで隠していた)。
高校ではマスクをせず、隠していなかったけれど、皆むしろ肯定的で、したことがない子には矯正いいな、と言われたし、小学生の頃に矯正していたという子がいて、痛いよね、とか話してくれた。

結果オーライ。

でも、私に一歩を踏み出せたのはあのケイティのMVのおかげなのだ。ケイティありがとう。私は今、歯を見せて笑って写真に写れるようになりました。


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