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【嘘企画文字起こし】TED x Kozukue 育成年代を追うべき3つの理由

聞こえますか?オーケー、それでは始めましょう。

我々がこうしている間にも、今日もどこかで試合が行われています。それがプロであれアマチュアであれ、90分もすれば結果が出ます。あるチームは勝って、あるチームは負ける。ドローもありますが、基本はゼロサムゲームです。
ただ、中には結果だけでは測りきれないものもあります。なんだと思います?…そうです、将来性です。今日の敗者は必ずしも、明日も来年も数年後も敗者であり続けるとは限りません。とりわけ彼らの場合は。

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ユースチーム。育成年代。彼らの多くはプロを志す青年たちです。私は彼らの試合を観るのが大好きで、一昨年頃からすっかり夢中になっています。今日はそんな私がハマっている育成年代の話をするためにここに立っているのです。わくわくするようなユース観戦体験を皆さまにも知ってもらおうと思っています。


育成年代を追うべき理由1:おおむねタダで観れてお財布に優しい

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ちょっと質問してみましょう。この中でDAZN年間パスを購入した方は?1,2,3...ワオ、結構多いですね。1つ伺いますが、年間パスのお値段は?「¥21,175(税込)!」

なるほど。まあ「王者」横浜F・マリノスの試合が観られるのであれば、高くはないのかもしれませんね。

オーケー(1つ手を叩いて)、ではもう1つ質問です。のちにプロになり得る選手たちのゲーム、いくらで観られると思いますか?
高校選手権と同じ1300円?もうちょっと手頃に1000円?そこの女性、そうタペンス・ミドルトンに似たあなた。いくらくらいだと思います?「500円…」ああ、惜しいですねえ。では答えです。

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ゼロ、フリー、無料。そう、タダです。(※夏のクラブユース選手権の準決勝以降は¥1,000かかったり全部タダではないけれど)
かかるのは交通費だけで、サッカーを観られるんです。そう、育成年代ならね。


育成年代を追うべき理由2:思ってるより質が高い

こちらをご覧ください。

前線から限定して徐々にパスコースを潰してボールを刈り取る動き、そこからゴールへ持って行くまでの流れ、さらには相手のオウンゴールを誘発するような質の高いクロス。プロよりプレースピードは落ちますが、一度ボールを奪えば…(指を鳴らして)瞬く間に敵陣ゴール前。オーガナイズされたチームだからこそ為せる技ですね。

また、プレーの多様性もあります。
例えばマリノスユースはトップチーム同様、ボールを握りながら攻め続けるゲーム運びをします。サガン鳥栖ユースは質実剛健。高校生離れしたフィジカルを武器にデュエルを制すのが信条です。
各チームのキャラが立っていて、チームカラーがはっきりしているため、ゲーム展開を色々考えることもできます。この辺の戦術的なやりとりはトップチームのプロたち同様に楽しめること請負いです。

ただ上手いだけじゃありません。若い選手たちは良くも悪くもメンタルがプレーに乗ります。なので、このようなドラマが展開されることもしばしばあります。

見応えのある完成度、そしてドラマ性。これはNetflixのコンテンツでも、ましてやPixer作品でもありません。なんの変哲もない川沿いのグラウンドでも行われている、無料で観られる試合です。かかるのは交通費だけ。まさに最高のサブスクリプションサービスかもしれませんね。


育成年代を追うべき理由3:ストーリーのはじまりに立ち会える

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一般的に、プロアマ問わず、選手のストーリーはその試合の結果だけで終わりません。選手人生を左右するプレーはあったりしますが。
ただユースの試合では、ストーリーの始まりも始まりを見届けられるわけです。トップチームのゲームがスターウォーズのエピソード4,5,6だとしたら、ユースの試合はファントム・メナスです。もっとも目の前で冴えたプレーを見せる彼はダース・ベイダーになるか、それとも伝説のジェダイとなるかは別ですけど。

エピソード1~3を観た我々は知っています。ダース・ベイダーは根っからの悪人ではないことを。
同様に今はCFで名を売っている選手を指差してこう言えたりするんです。

「ああ、彼ね。知っているよ。ただユースチームの時、彼は中央じゃなく右サイドでプレーしていたね」(メガネを動かしながら)

どうです?ちょっとしたスカウトマンみたいでしょ?単にたまたま育成年代の試合を観てただけなのに。wyscoutですらなかなか掴めないような情報が手に入るんですね。

ただ、大事なのは「いかに物知り顔でいるか」ではありません。1人の選手のストーリーの冒頭部分を理解できる、そこがいいんです。
先に言ったように、育成年代のゲームはメンタルが良くも悪くも影響しやすいものです。必然的に選手のキャラクター、性格も表されていきます。
「この選手はドリブル止められて悔しがってたけど、すぐに切り替えてタスクをこなそうとしている真面目さがあるな」とか、「この選手は『xxくん、良かったよ!』って言うとちゃんとサムズアップで応えてくれる律儀な選手だな」とか、「この選手は知り合いが来てると張り切ってインテンシティ3割増しだな」とか。

我々ファン、サポーターは、単純なボールの動きや"ポジショナルプレー"や"ストーミング"(いずれも指でダブルクォートを作りながら)だけを楽しみにスタジアムに行ったりしません。それらを可能にしようと選手たちが悩み、苦しみ、もがき、不可能を乗り越えていくストーリーが胸を打つから現地観戦を選ぶわけです。
では、いつもスタジアムで観ているトップチームの選手たちのストーリー、そのストーリーに「ファントム・メナス」があったとしたら、観たいと思いません?


おわり

オーケー、それではまとめましょう。育成年代を見ていただきたい理由は3つです。

安上がりで、

上質なフットボールと、

近未来のストーリーのプロローグを楽しめる。

娯楽に飢えた我々現代人が欲しいものがぎゅっと詰まったコンテンツなんです。さながらオールインワン・サプリメントのようですね。その素晴らしさを知るからこそ、私たち育成年代のファンはどこにでも現れます。
ある時は母校でもなければ縁もゆかりもない高校のグラウンド。

ある時は荒川の河川敷にも現れます。

メンバーを表示する電光掲示板?無いのが普通です。
時計?これも基本ありません。
アクセス?最悪です。
時間?高校の部活を思い出してください。朝もありえます。
あなたがここ新横浜に住んでいるとして、「朝7時に前橋に来て」と言われたらどう思いますか?「おいおい、バカ言うなよ」と思うでしょう。
でも育成年代のファンは行くんです。眠い目をこすって行くんです。

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ヤ○ザというには健康的すぎるので、人種としては修行僧に近いかもしれません。

でも、休日に平日の出勤時間くらい早いキックオフに間に合わせて会場に行くのも、たまの夏休みを札幌や前橋の荒れたグラウンドで過ごすのも、自分の息子がいるわけでもないチームを追って見知らぬ高校のグラウンドに行くのも、ひとえに楽しいからです。いろんな対価を払う価値があるからです。

皆さんもよかったら育成年代の試合にお越しください。きっと後悔はしないはずですから。今度は小机の土手でお目にかかれたら幸いです。

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ありがとうございました。(場内拍手)

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