同じ曲で何年も録音を取り続けてみた

こんにちは。チェリストの沼田恭果です。
大学入試やオーディションなどで録音録画を作りまくっていたのですが、
つい最近そのデータを整理しようと思って
「ハイドン チェロ協奏曲D dur」
を全部聞いてみました。
客観視できるからこそ色々な発見があったのと
自分がこうだったからレッスンで教えられるという
発見的な部分もありましたので
思い出振り返りのような感じで
少し書いておきたいと思います。

録音1 2019年

この曲自体は入団オーディションと入試を視野に
大学入ってからずっと練習していましたが
初めて録音したのが2019年のこと。
定期試験で弾いたのですが、
え?これで90点超えたの?ひどくないか?
というのが本音。
今では本気でありえない演奏をしていたので…笑
成仏させました。

録画① 入試素材のテスト2019冬

秋入学のために録画の準備を個人的にスタートしたのですが、
このときには卒業試験のために別の曲を並行練習していたので(卒業試験の曲も入試用)
どちらも録画していたのですが、
なんだろう、夏と比べてあんまり進歩無いよね?
という感じ。
まだハイドンの弾き方を2%くらいしか
理解していない
普通ならありえない

録画② 入試素材本番 2020年

ようやく使えそうなものが撮れてるなぁと思う
が、
なんだか変化のない1年、何していた?と疑う
その後2020年6月にあった入試に合格し、
晴れてウィーンで大学院生になろうというところで
大学が廃校になった。
普通に心臓に悪くて寿命縮んだ。

録音2 2020年8月

気を取り戻して何かに使えるかもと
また本気になる。
2.3楽章のレベルが低すぎて、
これも提出できない…。
いつになったらまともな録音が出来上がるのか。
この後留学が始まる。

録音3 とりあえず撮った2021年2月

出す宛もないのになんとなく撮った。
日本にいたときの録音と同一人物か疑う音源が撮れる。
が、出す宛がないのと録音にしていたので
普通にボツ。
オケに提出できる日が来るかもと
なんとなく気持ちが前向きになった。

録画③ 2021年8月 ついに本気になって…

気持ちが全部取り戻せたかのように
本気になって1週間のうちに3本くらい録画を撮った。
使えたのは0本。
まあ何が問題かというと
オケのオーディション用素材を作っていたので
ハイドンとオケスタを両方録音していた。
どちらかがうまく行ってもどちらかは失敗して…
みたいな
録画の再挑戦が決定。

録画④ 2021年9月 遂にできあがった

出す宛ができるかは不明だったが
とりあえずハイドンとありがちなオケスタのパターンをいくつか録音した。
良いものが撮れたので、
素材をあらゆる楽団に送りまくったら、
録画オーディションに通過し最終審査に招待された。
ここまで2年、ようやく完成し始めた。
なんとか世に出せる状態。
(このあと悲劇)

録音4 2021年10月11月

オーディション前に何回も撮ってある
日が迫ってくるにつれて
演奏が焦っているように聞こえる。
あんまり思い出したくない。

録画⑤ 2022年2月 体調不良の中で撮った

次の準備をしようとしていたが
今ではもうなかったことのようになっている
この録画が最後。
ビザが残っていたのでまだまだ滞在できたが
体調不良で再起不可になり急遽帰国してから2ヶ月
録音録画を始めてから2年半。
自分の中でついに納得するレベルのものが撮れた。
今聞いてもこれが提出できてないのが勿体無いほど。
ウィーンで自分と比べ物にならないハイレベルな人たちに揉まれてきたこともあり、
この時点で怖い物無しの無敵状態。
堂々と弾いているが顔は死んでいる状態。
よく頑張ったと思う。


結論

2022年2月までで
録音録画がボツも含めて約50本くらい撮れました。
それを今回整理するついでに聞き返しました。
人間が年齢が行ってても成長できるという過程を
この2年半でしっかり捉えることができました。
わたしとしては他にも大変な曲はたくさんあると思っても、ハイドンDほどいろんな面で苦労した曲は初めてくらいな気持ちでした。
ハイドン以外にも長期録音しているものがあるので、それも今後のために追々聞き返す予定です。
時代別に作曲家別に特徴を捉えて演奏する
これが如何に大事なことか
自分が自分の録音から勉強することができました。

録音をしていると自分の良くない部分を見つけるチャンスもあり、今回のように成長を感じられる瞬間もあり、練習するときもレッスンのときも何か弾くタイミングにはすべて録音しています。
この方法は年齢もレベルも問わず誰にでも使える方法だと思います。
わたしのレッスンを受けてる生徒様も積極的に録音していたりするので、これからの上達に繋がるチャンスでとても楽しみです。


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