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木材プラスチック複合材料 (WPC)とは何か?(特徴と市場アプローチ)

WPCをご存知でしょうか?
 これは、木材プラスチック複合材料(WPC)のことです。WPCは木粉とプラスチックから作られる複合材料で、木材とプラスチックの両方の特性を組み合わせています。
環境問題がクローズアップされる現代で、いくつかの理由から注目を集めています。 

◆WPC注目理由

  1. 環境調和:WPCは廃木材や再生プラスチックを活用することができ、廃棄物の削減に貢献します。また、最初の使用後にWPC製品を再成形して再利用することもできるため、リサイクル性が向上します。

  2. 低VOC排出量:WPCは、より安全で健康的な生活環境を提供する、低VOC(揮発性有機化合物)排出量の建築材料として重要な役割を果たすことが期待されています。

  3. 多用途性:WPCは、デッキやサイディングなどの外装材から、フローリングや家具などの内装材まで、幅広い用途で使用できる可能性があります。

  4. 製造プロセスの改善:プラスチックの優れた成形性と生産性を木材材料に適用することは、材料分野の長年の夢でした。WPC技術により、木材の押出成形と射出成形が可能になりました。

  5. 高い耐水性:プラスチックの疎水性によりWPCに高い耐水性が与えられ、屋外用途に適しています。

  6. 世界的な関心:WPCは特定の地域だけのトレンドではありません。アジアやヨーロッパを含む世界中で関心が高まっています。

これらのユニークな特性と潜在的な用途により、WPCは様々な業界で注目され、持続可能で環境に優しい社会に貢献します。

◆WPCの特徴

WPCの長所や短所をまとめてみます。
木材プラスチック複合材(WPC)は、約70%のプラスチック素材、15%の木粉、15%の添加剤で構成される材料です。廃木材や再生プラスチックを使用した環境に優しい素材です。

◆WPCのメリット

耐シロアリ性:WPCはシロアリに対して抵抗力があるため、家具や屋外での用途に適しています。
耐腐食性:腐朽、腐食に対して高い耐性を備えています。
耐湿・防水性:従来の素材とは異なり、WPCは湿気に強いため、キッチンやバスルームのキャビネットに最適です。
耐紫外線性:WPCは耐紫外線性を備えているため、屋外用途に適しています。
高い耐久性:WPCは雨、化学物質、湿気、その他の環境条件の影響を受けません。
環境に優しい:WPCは生分解性があり、100%リサイクル可能です。リサイクルされたプラスチックと廃木材で作られており、持続可能で環境に優しい素材です。更にホルムアルデヒド、鉛、メタノール、尿素、その他の有害な化学物質を含まない点も特徴です。
難燃性:WPCは自己消火性があり、火源に触れても発火しません。
WPCは塗装、染色、注油を必要としません。
様々な形状やサイズに成形できます。 

◆WPCデメリット

  1. 美観・外観:WPCは天然木を模倣することはできますが、天然木のような質感や天然木の高級仕上げが欠けています。

  2. 耐熱性:WPCは木材よりも耐熱性が低く、用途や生産に影響を与えます。

  3. 耐光性:直射日光により、WPCの表面温度が天然木よりも高くなることがあります。

  4. 設計自由度:WPCは建築基準法により建築物の構造材として使用できません。

  5. 耐衝撃性:WPCは衝撃に弱いため、釘の打ち込みが難しい場合があります。

  6. 初期コスト:WPC材料の初期コストは、同じ建設目的で使用される他の材料よりも高くなります。

◆WPCの市場規模

WPCは強度と耐久性が高いため、建設分野での使用が増えていることは注目に値します。
世界のWPC市場規模は2022年に64億1,000万米ドルと推定され、2023年から2030年まで年間複利成長率(CAGR)11.6%で成長すると予想されています。
WPC市場は110億6000万米ドルに達すると予測されています。2029年末までに。
WPCフローリング市場は2033年までに41億9,000万米ドルに達すると予想されています。
インドのWPC市場規模は2022年に2億1,810万米ドルに達し、2028年までに4億1,300万米ドルに達すると予想されています。

◆WPCの市場展開アプローチ

環境にやさしい素材として、木粉コンパウンド(WPC)はデッキ部材などの建材用途に多く使われていますが、高剛性グレードと耐衝撃性(靱性)グレードの2つの分類を考えたとき、
①素材(使用するプラスチック材料や添加剤)面
②製品(用途)面
のアプローチから、それぞれ5つのアイディアや可能性を列挙し、考察を実施して下さい。

それでは、木粉配合物(WPC)の高剛性グレードと耐衝撃グレードの両方について、いくつかの可能性を探ってみましょう。 

  1. 材質(使用するプラスチック材料と添加剤)

    1. 高剛性グレード:

      1. ポリ塩化ビニル(PVC):剛性を高めるため、PEやPPの代替品として使用できます。

      2. ガラス繊維:WPCの剛性を高めるために追加できます。

      3. ナノフィラー:ナノクレイなどのナノフィラーを使用すると、剛性が高まる可能性があります。

      4. カーボンナノチューブ:剛性を高めるための補強材として使用できます。

      5. 竹パウダー:木粉の代わりに使用すると、質感が変わり、剛性が高まります。

      6. アセチル化木粉などの変性木粉を使用すると、WPCの耐衝撃性と伸びを改善できます。アセチル化プロセスは、木粉の表面を変更し、親水性を低下させ、ポリマーとの適合性を高めます。

      7. 耐水性・耐吸水性への改善です。WPCは給水しやすく、木粉粒子の膨張と劣化につながる可能性があります。この問題に対応するために、メーカーは、様々な添加剤を使用したり、樹脂配合を変更したりして、材料の耐水性の改善を進めています。

    2. 耐衝撃グレード:

      1. ゴム:複合材料にゴムを追加すると、耐衝撃性が向上する可能性があります。

      2. エラストマー:EPDMやTPUなどのエラストマー成分をポリマーマトリックスに組み込むことで、WPCの靭性を高めるために使用できます。

      3. シリカ粒子:耐衝撃性を向上させるために添加できます。

      4. ポリウレタン:耐衝撃性を高めるための代替プラスチック材料として使用できます。

      5. 再生プラスチック:再生プラスチックを使用すると、WPCの環境への優しさと耐衝撃性が向上します。

  2. 製品(アプリケーション)面

    1. 高剛性グレード:

      1. 建築ファサード:高剛性WPCは建築ファサードに使用できます。

      2. 家具:屋外用家具の製造に使用できます。

      3. 手すり:屋外の手すりには剛性の高いWPCが使用できます。

      4. パーゴラ:パーゴラの建設に使用できます。

      5. 遊具:高剛性WPCを遊具に使用可能。

    2. 耐衝撃グレード:

      1. 床材:耐衝撃性WPCは、交通量の多い場所の床材として使用できます。

      2. 自動車部品:自動車業界で高い耐衝撃性が必要な部品に使用できます。

      3. 保護具:耐衝撃性WPCは保護具として使用できます。

      4. スポーツ用品:スポーツ用品の製造に使用できます。

      5. 包装:耐衝撃性WPCは、輸送中に商品を保護するための包装に使用できます。

      6. 耐衝撃性を活かし、安全性が重視される遊具に使用できます。また、バンパーカバーやインテリアトリムコンポーネントなど、耐衝撃性が重要な自動車用途にも使用できます。

      7. 靭性が向上したWPCは、耐久性と寿命が重要な要素である家具などの消費材に使用しています。

      8. 3D印刷技術を使用して複雑な成形品を高精度かつ効率的に製造を実現しています。 

◆トピックス

最近の開発トピックスは、生分解性樹脂を木粉と組み合わせて使用し、環境に優しく、使用後に簡単に廃棄できる成形品の製造です。これらの生分解性樹脂は、コーンスターチやサトウキビなどの再生可能資源に由来し、従来の石油ベースの樹脂に匹敵する性能を提供します。
1〜4項を活用し、耐衝撃・高靱性・生分解性付与をした素材を3D印刷技術で、アパレル用ハンガーやスーパーの買い物カゴなどを展開しています。

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