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“育むもの”セレスの話

セレスは太陽系内、火星と木星の間の小惑星帯を巡る天体である。公転周期は約四年半、直径は945kmである。やっぱり太陽系惑星と比べてしまうと明らかに小さい。分類としては準惑星に入るのだけれど、占星術上では小惑星と扱われているので、この記事でもそう扱うことにする。

占星術において、小惑星をどこまで読むかは人による。理論上、全ての小惑星を図の中に表示してもいいのだけれど、小惑星は文字通り星の数ほどあるので、さすがに全部を検討するのは無理がある。その為、どういう状況のときに読むかを先に考えた方がいいだろう。中には、確かに小惑星なんだけれど、事実上十天体と同じくらいの重み付けしていいんじゃないかなって思う星もある。私にとってはキロンがそうだ。このへんの感覚は人によって違うから、絶対のものとは言いがたい。

ではキロン以外の小惑星をどう扱うか、という話だけれど、これは毎回読むとは限らない。私の場合は、太陽系十天体+キロン+トゥルーリリス+ヘッドとテイル+分かる場合のみAsc/DscとMc/Icだ。これらを重ねたNPTの三重円が基本になっている。よってそれ以外の小惑星は、この天体と感受点を読んだとき、“何か見逃してるぞ”“これは核心ではないな?”と思ったら参照する、という感じになる。

その中でもセレスは、“育てる”テーマのときによく注目する。十天体で言えば、月(≒子供)と木星・土星(≒保護者)に関わる話のときだ。もともとセレスはケレスとも呼び、ギリシア神話の豊穣の女神・デメテルと同一視される神の名である。その名を付けられた星は、チャートの上では育てる力の象徴と考えるのがよいだろう。人にしろ動物にしろ組織や会社にしろ、最初からいきなり完成体ということはほとんどない。それに、急成長している子供と、ある程度体が育ってきた大人とでは必要になる栄養も異なる。成長する力と、成長する為に必要なもののさじ加減を考えるとき、何かとサイズオーバーになりがちな木星や、締め付けの手加減がちょっと難しい土星よりも、セレス的な力に比重を掛けた方がいいことも、よくあるのだ。

では、そのセレス的な力とは何か。私は“種を果実へ変える力”だと思っている。木星も恵みや実りを示す星だけれど、木星が背負うものは他にも大量にあるのに対し、セレスは育成特化型だ。育てる対象以外には、セレスの興味はほぼ向かない。よって、何かを育てる立場に立たないのであれば、セレスの力はほとんど働かないと思っていいだろう。しかし、我が子であれ、部下であれ、兄弟姉妹や教え子であれ、あるいは自分自身の能力や農地の作物であれ、育てなくては……というときには、めちゃくちゃに頼もしい小惑星である。この力、小惑星だからといって侮っていいものではない。もちろん十天体の影響、特に木星・土星の力も同時に考慮する必要があるけれど、どう見てもその世代相に引っかからないなと思っていたらセレスー!!……ということは充分に考えられる。本当に、そういう局面に立たなければ出てこない星、なのだ。

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