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Adoさんについて

Adoさんの曲を聴いていると、本当にどれも自由な発想で作られていて大きな刺激を貰える。
仕事としての作品作りって色んな制約を受けるけど、作りたい曲を作って歌いたい曲を歌ってる姿勢を貫いている感じがしてスゴい。
曲によって作曲者が違う分テイストも全然違って、見事に歌い上げるAdoさんは勿論スゴいんだけど、ビジネス的に支えている方々もスゴい。

アニメでは(音楽もそうだろうけど)大きなタイトル・大きなプロジェクトになるほど関わる人は増えるし、自ずと作り方や内容も制約を受けることになる。
故に製作者と監督は対立しやすい。製作者サイドは製作費のリクープを第一に考えるから保守的になりがちだし、自分ならではの表現を追求する監督は前衛的になりやすい。

音楽業界のビジネスプロデューサーはA&Rと呼ばれるけれど、彼女を担当しているA&Rはどんな方なんだろう。
クリエイティブの理想像って作家が作りたいものを自由に作ってバカ売れすることだと思うけれど、それを体現しているように見える。実際はそうじゃなかったりするのかなぁ...。

「踊」の歌詞はDECO27さんが音源を聴いて2〜3時間で作ったらしいけど、アニメでそのテンポ感はまずありえない。
メロディー=アニメーション、歌詞=脚本と無理矢理置換するなら、それぞれ優に数ヶ月はかかる。
尺で言えばTVCMが近いけれど、それでもプリプロ〜ポスプロを考えれば数ヶ月単位のはず。
曲もレコーディングやミックスでかなり時間取られるだろうけど、2ヶ月に1回新曲を出している彼女のペースはアニメにはとても真似出来ない。あくまで想像だけど、PRの擦り合わせ期間とか考えたら実制作は1ヶ月もかかってないんじゃないじゃなかろうか。
テレビCMでも2ヶ月に1度自社CMを入れ替える企業は少ないだろう。

一般的に、一作品にかかる時間が長い程コストがかかるしリクープの責任が重くなる。
逆に製作期間が短いほどローコストで済むし失敗しても次作でリクープ+α余剰資金を産めばいいという発想になるから内容的に挑戦できる。
実写もアニメも、そしておそらく音楽も、製作費の大半は人件費だから。

そういうことを考えていくと、やっぱりローリスクで自由に作品作りをするなら自主制作が一番ということになる。リターンはあまり期待出来ないけれど、YouTubeやSoundCloudがある今の世の中、爆発的に拡散される可能性も0じゃない。勿論、拡散は捨てて玄人向けの作品を作るのもアリだと思う。

ヒットコンテンツに関わる側の立場になって思うけど、売れたモノほど作品の品位と多様なファンの目線を気にしないといけないし、どうしてもビジネス展開は保守的になってしまう。
本当に好き放題やるなら、沢山貯金して自主制作をとことん突き詰めるのもアリだと思う。
あえてヒットしづらいような内容のモノを自主制作で作り続けて、「分かる人には分かる」クリエイターになるっていうのが自由な作家性を貫くには良いような気がする(ビジネス面は度外視だけど)。

プロとしてクリエイティブな仕事をするっていうのは影響力の大きい商材を作れることでもあるけど、それだけ企画の選択肢は限られるということでもある。
世の中そう単純じゃないな〜というのがこの半年間の学び。

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