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頭が凝り固まってきた時によく見る動画7選

幸せなことに新作アニメの企画開発を仕事にさせてもらっている訳だけど、この商売をしていると「面白い映像作品ってなんだろう」ってよく悩むわけです。
ウチの会社ってメーカーじゃなくてスタジオなので、実際に映像をどう作るかって部分にもガッツリ仕事で携わっています。

そんな時にいつも見ている作品群を、今回はご紹介。
ていうか、また自分が悩んだ時に戻ってくるリンク集的なメモ書きです。

① GRAVITY CAT 重力的眩暈子猫編

伊藤万理華さんを迎えて柳沢翔さんがディレクションしたゲーム広告。
映画「インセプション」を想起させる、部屋の回転に翻弄される女子と子猫を描いた作品です。
これはもう映像的な享楽に満ちているというか...。
理屈抜きで圧巻の面白さです。必見。
一応ストーリーはあるし、伏線も張られているんだけど、この映像の面白さはそこじゃない。
ただ、ニュートンていう既成概念の記号を冒頭に出して、文字通り書き換えちゃう現象を起こすっていうプロットはすごく光ってる。
まさにあり得ないことが起きちゃうっていう、このゲームの世界観や魅力を最大限表した作品だと思います。

②松平健「マツケンアリマ66」MV

これはもう、なんなんだろう。笑
音楽やダンスのズルさ(褒めてます)が詰まってる作品。
オフィシャルでこれを許したJRAや説得したプロデューサーもスゴい。
マツケンサンバがそもそも理屈じゃないところに面白さがあるんだろうけど、真面目に「無意味」を追求するエンタメがここにあります。
もう意味不明だから、左脳を止めて右脳で観れる。そしたらなんだか愉快になってくる。そんな作品。
そんで観てたら何故だか前向きな気持ちになってくるのも不思議。俺みたいな、何でも理屈で考え過ぎるタイプには合ってるんだろうな。

③夜明けと蛍/n-buna

これは一般の方の所謂「弾いてみた」系動画なんだけど、メチャクチャ癒されるんですよね......。
純粋に動画作品としても優秀。
ギターを弾いてる手元しか見えない面白さがあるし、横浜のランドマークタワーが見えて、「なんでこんな所で弾いてるの?」てツッコミたくなる。
でもその景色込みでめっちゃエモい。
こういうエモさはアニメじゃ敵わないよな......と正直思います。

④【Ado】踊

こっちは逆にイラストならではの面白さがある作品。
やっぱデジタルな打ち込み系の音楽とデジタルなイラストは親和性が高くて、こりゃネットの波に乗るよなって感じ。
キャラクターはずっと止め絵でアニメと呼べるかは微妙やけど、だからこそ歌詞のパワフルさが響いてくる。
音楽理論には疎いけど、新鮮な刺激の詰まった作品だなぁと思う。

⑤チカちゃんダンス

アニメの魅力が詰まった、これぞという力作。
忘れもしない、A-1pictures の会社説明会で原画のフラッシュ動画版を観て仰天した作品。
これだけで1,000枚以上の原画を描いたっていうから、ヒェーって思ったわけやけど。
手描きアニメでこんな滑らかに動かせんのかって驚いたし、純粋にチカちゃん可愛いし。
今時ロトスコープでアニメ作るなんてぶっ飛んでるけど、それだけちゃんとバズったんだから世の中捨てたもんじゃない。

⑥カロリーメイトCM「夢の背中」

大塚製薬のCMは名作が多いけど、中でもイチオシの作品。
受験戦争の経験がある人には必ず響くはず。
背中しか撮らないのが絶妙に視聴者に自分と重ね合わせることを促してるし、3月9日ってセレクトがまた鉄板で良い。
何世代も違うウチの親父もこれを見た後、40年前を思い出してしみじみしてた。
YouTubeだとコメント欄に受験の苦労エピソードが溢れていて、もはやそういう溜まり場と化している。笑
音楽と映像があれば、セリフなんて無くても響くんだなと感じた作品。
今回挙げた中では、1番ストーリー性が強いかもしれない。

⑦米津玄師 MV 「感電」

もうMVを挙げるとキリが無いから回を分けたいくらいだけど、米津の中でも感電が俺は好きだなー。
奥山由之さんの作品ってフィルムチックでお洒落で何処かユーモアもあって。
山田智和さんの王道なドラマ感のある作品と比べて、クスッと笑えてほんわかする雰囲気が奥山さんの持ち味だと俺は思ってます。
感電は車の中の一人称っていう建付やカメラポジションから宇宙人めいたモブダンサー、宙に浮く米津ととにかく情報量が多い。そんでみんなモチーフが非現実的。
ただ車中から撮ってる目線だけはリアルで、まさしく感電したような世界観。
どうやって撮ったんだろなーとか、どんな発想でこの企画生まれたんだろとか、もし奥山さんに会えたら質問漬けにしたい。
奥山さんの作品ってお洒落だけど大衆向けなハードル低い感じもあって、そりゃ売れっ子になるよなという。


とりあえずパッと思いつくのはこれくらいかな。
う〜ん、映像って奥が深い。本当に。

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