memorandums♡about♡a

デザインというか私のための個人的な作品 として作ったので、あんまり説明をしすぎたくなかったんだけど、半年経ったしゼミが楽しかったので説明もしてみようと思いました。

これは69個のぬいぐるみで、それぞれに言葉が刺繍してあります。
恋人が私に向けて話した言葉を刺繍しました。
人の話してくれたことを忘れるのがすごく怖くて、中学生の時からいろんな人との会話をメモしていました。
語尾まで正確にメモすることが私にとってはずっと大事で、話を聞きながら暗誦する癖がつきました。
これはその一部（当時の恋人パート）を使って作りました。
私に話した言葉は私だけのものなので、ぬいぐるみは私しかさわれません。だから展示するときはビニールに密閉してあります。
キャプションにはこう書いてあります。↓

memorandums♡about♡a

最初に忘れるのは音だって小さいころなにかで読んだ
匂いは長く残るらしいたぶん香水の広告で見た
はやく／ゆっくり忘れながら、ちがうものに置き換わる

ことばは変わらないからうれしくて
千年後の私が、もういっかい意味をわかる

うまく誦じられたら
私のものにしていいことになる

ぬいぐるみは死なないからすき

さわっても動かないから
さわることを許されている、と思うし
話しかけても応えないから
なんでも言える  なんでも言わせられる

恋愛の寿命よりぬいぐるみの寿命のほうが長い
から、後で困るかもしれないってことをいちばん最初に考えた
でも恋人の言葉を集め続けてた
それだって後で困るかもしれないと思っても集めた
恋人が、別れたり死んだりしていなくなることは決まっていて
いなくなるって決まっていても作品に残すことについて考えた

動物と山が好きな先輩が
「動物がぬいぐるみよりも可愛いのは、動物は死ぬからだよね！？」ってツイートしてて
絶対そうなのにそんなふうにできないと思った
わたしがぬいぐるみのほうが好きだと思ってることってグロいのかも

私はぬいぐるみと話をしたことはない
声が聞こえないから、挨拶もしない
でも寒い日は布団に入れてあげる
私の風邪が移らないか心配になる
名前をつけていたぬいぐるみが、みんなビニールに詰められて夜のゴミ置き場にいた時に、ぬいぐるみも死ぬってわかった

作ってもいつかいなくなる
ぬいぐるみは朽ちる
千年後に私はいない
でもぬいぐるみが死ななかったら、
ことばが変わらなかったら、うれしいと思う
何年後の私もそれに救われることができたらいいと思う
本当はそうじゃないから、そうだといいと思う