演劇って、楽しいね ~とよはし紀行~
本日、市民と創造する演劇『甘い丘』終演。
...全3回公演なので、本当にすぐに終わって、終わったのが嘘のよう。
千秋楽終わってから楽屋にいたのだけど、さっきまで立っていた舞台が1時間で様変わりする様子に、夢の世界にいたんだなぁと思ってしまったというのもある。
本当に何もかもがすごかった。
舞台も、それも稽古から本番の舞台とほぼ同じものを使い、小道具や小物、衣装も盛りだくさんと普通ではなかなか味わえない豪華な造りに、
プロスタッフさんも稽古から張り付いてくださっていて、そして豊橋ならではだと思うのだけど、市民スタッフさんの温かなお仕事。
衣装や大道具関係もだけど、楽屋に持ち込まれた手作りパーテーションにはアルバム用に撮られた写真がデコってあって、初めて楽屋に入った時、テンションがぐわっと上がった。
舞台が進行してる間もプロスタッフ、市民スタッフ問わず、黙々とお仕事をされていた。その上での公演。
コロナのこともあったけど、お客さんに観てもらえた。
本当にありがたかった。
その上、舞台上ではオーディションの時にすごいなぁと思った豊橋の人々とKAKUTAの面々。そこに自分がいる不思議な感覚。一人、ふわふわしてたかもしれない。
そんな私は、この千秋楽を迎えるまでの期間、ずっと生まれ直しをしている感じだった。
役が求めてることを私ができなかったからだ。
凛とした姿勢、強い声、怒声。
...役者なんだけど、これまではその今回ぶち当たったことから目を背け続けてくることができたのだけど、今回はそうはいかなかった。
だって、ほんの1年前、初めて観たKAKUTAさんの『往転』のすごさ、おもしろさにど肝を抜かれ、今回踏み出して掴んだチャンス。
やりたい、けど、うまくできない。
その繰り返しの時間だった。
へこたれそうになる度に、誰かが「演劇って、楽しいね」って言葉だったり、行動だったり、そういうメッセージをくれていた。それはキャスト、スタッフ関わらず、だ。
「演劇って、楽しいね。」
すごくシンプルだけど、最も大切なこと。
そういう大切なことを常に教えてくれるし、示してくれるのが今回の座組だった。
みんな、温かいのよ。
でも、厳しくて、熱くもある。
きっとバラさんが選び抜いた人たちだからだろう。
そこに私がいれたこと、選んでもらえたのがうれしかった。
バラさんの言葉はわかりやすい。
実際に演じてみせてくれるし(これを真似できるかは別の話)、終盤、稽古後に送られてくるラジオかと思わんばかりのおもしろさ溢れるダメ褒めだったり、愛もあるし、粘るし、私たちをずっと引っ張ってくださっていた。
だから、できないはできるに変えるの気持ち、言い訳してたら何にも変わらないというのをバラさんは突きつけてくる。
それは、これからも役者を続けていくのか?というのを自分にも突きつけて考える機会でもあった。
台本を書くことは、一人で全部できることでもある。
だけど、この今日までの時間を通して、人の中にいて、みんなで創っていく方がいいな、いろいろあるし、うまくいかない時なんかは悩んでしまうんだろうけど、それでもうまくできた時はより喜べるし、分かち合えるから、役者でいたいなぁと思った。
そういう自分自身が一番相手を考えずに演技するという所があったけど。
なんかそういうのも見せられたし、じゃあどうするか?を本気で考える機会でもあった。
そういう四苦八苦しながら、今回の役に少しずつ少しずつ近付いていった。
でも、それは私一人の力じゃない。
「演劇って、楽しいね」と語りかけてくる座組や、
父母のように私を一から叩き直してくれたKAKUTAの健康さんとさやみ先輩。
また、どんな時も私のことを信じてくれたバラさん。
そういう環境や人の中で過ごし、私は役者として生まれ直した、いや、生まれ直し出したんだと感じてる。
まだまだ上を見れば、できないことばかりだけど、今回の伊沢ともえという役を通して、私は確かに成長したし、これまでとは違うステージに立つことができた。
これからどうするか、まだ考えてないのだけど、
「演劇って、楽しいね。」
ってことは再認識したし、それを感じさせてくれたこの豊橋の地にはまた遊びに来たい。
友だちもできたし、今日、家を出た時に近所の人に「いってらっしゃい」と言われて、ああ、豊橋の人になれたんだなぁと一人しみじみ思ったり...
今回出会った人たちとはこれからもつながっていけたらいいなぁ~。
大変な時もあったけど、楽しかった。
それを感じさせてくれた今回の機会に、本当にありがとう。
明日は引っ越し。
なのにまだ片付いてない...。
その前に瞼が重いぞ。
今日はひとまず、おやすみなさい。
観に来てくださった方々、応援してくださった方々、私と関わってくださったすべてのみなさんへ。
ありがとうございました!
伊沢ともえ役 井川いずみ
出会ってくれて、記事を読んでくれて、ありがとうございます。演劇をやっています、創るのも、立つのもです。良い作品を届けれるよう、日々やって参ります!