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ー安楽死を宣告された猫との35日間ー  18日目

BAKENEKO DIARY /DAY 18. 7年前の“皮下気腫”

 ミータはドライのフードも少しずつ食べられるようになってきた(下に食事量記録の写真を載せます)。でもやっぱり、まだ飲み込むのが辛そうだ。チューブを入れているので飲み込みにくいのか、痛いからなのかはわからない。ただ、ゆっくりだが確かに回復しているのを感じる。退院時に比べると起きている時間も増えて、なんとなくだがコミュニケーションが取れるようにもなってきた。
 それで最近になってやっと、帰宅した当初、寝てばかりいたのは本当に身体がきつくて、起きていることができなかったのだということに気が付いた。“動物は寝て治す”というのは知っていたはずなのに、心配が先走っていると、どうしても楽観的な考え方ができない。

 ミータは7年ほど前にも、ひどい状態になって入院したことがあった。ミータがうちに現われた頃、娘のSがハムスターを飼っていたことは前に書いた。それでミータを飼うと決めると、まず不妊手術を受けさせて、軒下に寝床を作って“外猫”にした。寒い日は湯たんぽを入れてやると、野良育ちのミータは特に不満そうな様子もなく、ご飯だけ家の中で食べて夜は外で寝ていた。
 ところがある日、ミータがいなくなった。1日、2日、3日…2週間たっても帰ってこない。私は寂しくてたまらず、近くを探したけれど見つからない。事故にあったりしてないといいな、どこか別の家を見つけたのならしかたがない、などと考えていた。3週間近くたった頃、朝、出かけるようとすると娘のSが叫んだ。
「おかーさん! ミータ! ミータ帰ってきた!」
 
 ミータは帰ってきた。首輪はしているけれど、声がガラガラで、顔つきもぜんぜん違う。足取りもフラフラだ。むくんでいるような身体をだきあげてびっくり。とても軽いのだ。エサをあげても、ほとんど食べることができない。
 獣医さんに連れて行くと、症例写真で残しておきたいほどのはっきりとした“皮下気腫”だと言われた。簡単に言えば、皮膚の内臓の間に空気が入っている状態。皮下脂肪は全くなくなっていて、重度の貧血。長期間、飲まず食わずだったようだ。原因は細菌感染や交通事故等が考えられるけども、目立った外傷はなかった。推測だが、近所の家の物置か農機具小屋に入って閉められてしまい、出られなくなり、その中で暴れたのではと思う。マンガみたいな話だが、獣医さんが注射器で空気を吸い出すと、身体はひとまわり小さくなった。体力が落ちてエサもあまり食べられないので2日間ほど入院して点滴してもらい、家につれて帰った。ミータはそのときもこんこんと眠り、数日するとご飯もしっかり食べられるようになった。弱っていたミータを外で寝させるわけにも行かず、ミータは夜も家の中で寝るようになり、ハムスターがなくなるまでの1年ほど、猫とネズミは同居した。
 
というわけで、私は“動物は寝て治す”を過去にも見ていた。しかも、ミータ本人が“寝て治す”姿を。学習してないとも言えるが、でもやっぱり、言葉が話せない動物の状態を客観的に正しく判断するというのは、とても難しいことだとも思う。心理状態がネガティブな方に傾いていたり、疲れていたりすると、どうしても目の前の光景も悪い方に引っ張られていく。たぶんこれは、ペットのことだけでなく、すべての場面に言えること。しっかりしなよ~、自分!

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