見出し画像

ー安楽死を宣告された猫との35日間ー  30日目

BAKENEKO DIARY /DAY 30. “いつも通り”が一番イイ

 今日は2020年12月31日。年はじめには思いもしなかったコロナウイルスの流行で、文字通り“世界中の人”の暮らしが影響を受けた。個人的には、ずっと前から計画していた3月のスペイン旅行を中止せざるを得なくなったのを皮切りに、自分のバドミントンの試合がなくなったのはヘナチョコの腕前だから良いとして、娘の修学旅行もなくなり、青春を賭けていたテニスの大会はほとんど開催されず、夫の在宅勤務が増え…と、多くの人同様、いろんなことがあった。が、やはり一番のビッグニュースは11月末のミータの交通事故。2020年の11ヶ月分の記憶がふっとぶほど、怒濤のような12月だった。この場におよんで年賀状も作れてないよ…

 とは言え、どうやら終わりよければ、という感じで1年を締めくくれそうではある。食道チューブを入れていたミータの喉元の傷口は完全にふさがり、うっすらと産毛が生えてきた。シリンジ給餌の時にこぼれた高濃度のミルクで背中の毛があちこちかたまっていたが、リード散歩の時に少しずつほぐして取ったので、かなりフワフワ感が復活した。食事も問題なく取れるようになって、心配していた半身麻痺もよく見なければわからないほどに回復。

 夜勤明けの夫Pが帰ってくるのを待ち、午後から家族3人でPの実家へ。今回はコロナ禍で他の兄弟は帰省してこないので、実家ではおせち料理を詰めるくらいでゆっくり過ごす。義父母と一緒に焼き肉を食べて、早めに家に帰るとミータはおとなしく待っていた。紅白を見ながら、ミータに話しかける。

「ミータ、今年は本当に大変だったよね。」
「ミータ、元気になって良かったね。」
「来年は事故とか嫌だからね。」

 もちろん返事はない。ミータにとっては、大晦日もいつもと同じ一日。いつものように、ソファに置いてあるブランケットの上でぐっすり寝ている。

コロナウイルスの流行とミータの事故で、“いつも通り”が突然、失われることを知った一年。“いつも通り”のありがたさはよくよくわかったけれど、“いつも通り”を意識しないで過ごせる2021年になることを願う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?