人の評判ってアテにならないよね、という話 [ほぼ毎日書くコラム]
僕が高校2年生の時、所属していた剣道部に新しい顧問がやってきた。体育大学出身の出身の23歳。僕はその教師に対して、いまだにいい印象を持てないでいる。
僕の所属していた剣道部はやたらと歴史が長く、過去は全国大会でも上位に食い込むほどの強豪だったらしい。所属しているだけで体育大学からの推薦がもらえたなんて話も聞いたことがある。しかし、それも20年以上前の話、少なからず僕が所属する前5年間は都大会に出たと言う話すら聞いたことがない。部員は僕の代が4人、うち半分は幽霊部員で、練習に僕と部長しかいないなんてこともちらほらあった。
そんな弱勝負に体育大学から新顧問がくることになったのだ。「なんでまたこんな弱小部にわざわざ……」と思ったが、それなりの意図がお偉いさんたちの中にはあったのだろう。この決定に、OBたちは「強かった時代の剣道部が帰ってくる!」と喜んでいたのを覚えている。
しかし、着任した新顧問、人間として最悪だった。怒鳴るのは当たり前。生身を竹刀で殴る、数時間正座で待機させるなど、体罰のオンパレードだった。今同じことやったらネットを賑わす大ニュースになっていたんじゃ無いかと思う。当時だからって許されるものじゃないけど。
結果的に在籍部員は次々にやめていき、僕らの代は部長と僕の二人だけになった。僕らが必死に集めた一つ下の代8人は1ヶ月としないうちに1人を残して部を辞めていった。そりゃそうだ。
ただ、その新顧問、とにかくOBからの評判はよかった。OBたちは口々に「いい先生に恵まれてよかったな!」「あの先生についていけば間違い無いから!」なんてことを僕たちに言ってきた。何を見て彼らがそんなことを口走っていたのかはよくわからない。それでも、新顧問の悪口を言うOBは見たことがなかった。(在籍部員の僕らはずっと悪口言ってたけどね)
あれから10年と少し、僕は人から聞いた誰かの評価をあまり間に受けないようにしている。
周囲から評判の良い人のことを過度に信用しないし、逆に周囲から評判が悪い人を無碍に悪人だとも思わない。周囲からの評価ってそれぐらいアテにならないものだということをこの時嫌というほど痛感させられたのだ。
後日談なのだけど、結局その新顧問は生徒を殴り、僕らが高校卒業して数年後に懲戒免職処分となった。申し訳ないが、僕は「ザマアミロ」といまだに思っている。当時新顧問を持て囃していたOBたちは、この事件をどう受け止めているんだろうか? なんてことを今でも時々考える。「俺たちには人を見る目がなかった」とか……思ってないだろうな。「体罰ぐらいで教師が懲戒免職になるなんて、世の中がおかしいんだ!」とか言ってそうだな。
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