『代表作でわかる世界の建築史入門』田所辰之助・川嶋勝監修
これまでにないのかどうかは良く分からないけれど、楽しみながら読める本であることは間違いないです。写真も本当に綺麗で迫力もあって見応えたっぷり。
オリエント文明から語り起こして、アアルト、ゲーリーまで建築史を駆け足で巡る旅、歴史叙述としてはいささか掘り下げが足りないけれども、単に年表のように事実の羅列だけではないダイナミズムも感じさせてくれます。
これまであちこちで摘んできた有名なキーワードが、建築史の流れの中で体系的に位置づけられて、個人的にはとても頭が整理された読書体験でした。
それにしても18世紀以前と以後で歴史の流れの速さの違うことよ。それまでは数百年単位で語られていた歴史が数十年のスパンになり、大きな一つの流れが細かな流れに枝分かれしていく。現代を流れる細い流れたちのどれが生き残りどれが枯れ果てるのか。
百年後の建築史のテクストはどんなふうに今を記述するんだろう。
そしてやっぱりゴシックの大聖堂が一番心躍るなあ。
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