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アーティゾン美術館『空間と作品』展

この展覧会では、モネ、セザンヌ、藤田嗣治、岸田劉生、琳派による作品や抽象絵画まで、古今東西、様々な分野の作品からなる石橋財団コレクション144点によって、美術品がどのような状況で生まれ、どのように扱われ、受け継いでこられたのか、その時々の場を想像し体感してみます。

展覧会コンセプトを読んでも、ちょっとイメージが掴みにくいけれど、実際に観覧してみると、やりたかったことがよく分かる。

展覧会は大きく3部に分かれていて、1部は作品が掲示されていた空間を再現もしくは再構成してそこに作品をおいてみるという試み。

2部は作品の持ち主についての情報に触れつつ作品を鑑賞する、3部は作品の額縁についての解説を読みつつ。

1部は大変面白かった。応挙の襖絵を和室に配置してみたり、ザオ・ウーキーや佐伯祐三を壁にかけた部屋を再構築してみたり。

ポロックやザオ・ウーキーを壁にかけた部屋、憧れる…

シンプルなホワイトキューブとしての作品掲示の枠を超え出ようという主催者の心意気が感じられます。

一方、2部3部はやや情報過多というか、作品の外延情報は、作品鑑賞にどう影響するのか、させるべきなのか、戸惑いながらの鑑賞となりました。

ピカソ「腕を組んで座るサルタンバンク」を世界的ピアニストのホロヴィッツが所有していたということを作品とともに提示されて、鑑賞者としてはどうすれば良いのだろう。
そういった戸惑いは僕の想像力の欠如故かもしれないけれど。

とまれ、単に作品を並べるだけでない、展覧会の新たな可能性を探る試みとして、アーティゾン美術館の矜持と挑戦心を感じました。

ちなみに一番印象に残ったのは、前田青邨「風神雷神」軽妙な筆捌きが軽やかでした。

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