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【鉄面皮日記】23/07/19.Rat Race "皿洗い2"

箱男の仕事も3ヶ月、もう大概に飽いているが、あと暫くは厄介になる他ない。(生活再建のため)
軽く30度を越す倉庫の気温でバテバテになっており、大型扇風機の風も生暖かくて気持ち悪い。
仕分け業務に従事するは、僕以外(一番若手)は悠に60歳定年越えのご老体ばかり、よれよれになってやっている。
しかし昨日初めて怒号を聞くコトとなった。
いやたいした問題ではないのだが、この気温でどうかしたんだろう、持っていた伝票を床に叩きつけ怒ってる。
普段無口でクールそうな方だったので、人は見かけによらないなと思いつつ手は休めないで荷を運ぶ。
若い頃、年を喰うとそういった怒りなんて消滅していくもんだと思っていたけれど、意外にもぜんぜん炎は燃えていて、すぐにでも着火したりするんだ。
全然年齢なんて関係ないや、
むしろ枯れているから着火し易いのかも知れないなァ。

さて忘れた頃にやってきますネズミの競争シリーズですが、今回も皿洗いのバイト。

"皿洗い"バイト 2回目

これは割と最近(と言っても18年くらい前)2005年くらいに行っておりました。
その頃は下北沢の場末でBARを営んでおり、掛け持ちでのバイトということになります。
例によって本末転倒でございますが、外貨を稼がねばというコトで他店に草鞋を脱ぐ。
新宿アルタ裏道、創業1963年ロールキャベツで有名な"アカシア"というお店でした。
そこはそう80年代後半に先輩から教えてもらった穴場、確か当時はロールキャベツ(一貫)ご飯セットで3~400円台だったような気がする。
あの美味しさでその値段、貧乏人でも少し贅沢な気持ちになれ庶民の洋食屋さんでした。
現在は二貫ご飯セットで980円、セットになると千円以上するので、気軽に食べられる値段ではなくなっていますね。
そりゃ30年以上も前と比べても仕方ないし、開店当時は130円だっていうんだからやはり庶民派です。
お昼時たかだか3~4時間くらいの勤務だったろうか、あのモダンな建物の最上階にロッカー部屋があって白衣に着替え、地下にある厨房に入る。
ポジションはもちろん皿洗いである。
お昼時ともなるとひっきりなしに注文が降りてきて、すぐさま皿の山ができて洗浄どころか戦場であった。
あのロールキャベツもカレーハヤシもハンバーグも、大きい寸胴鍋でコトコト煮込まれていて、注文を受けたら掬って配膳、エレベーターで上へあげるので、迅速に提供できるようになっている。
途中から注文を受けシチュー関連を配膳する役割も担ったのだが、忙しい店はそれだけシステマティックに仕上がってる。
僕はここでは寡黙で通っていて、他の調理人とはほとんど会話をしなかった。
皆若い、調理学校出たての子から20代、せいぜい30代前半といった方々が4人くらいで回している。
それに彼らが話してることなど競馬やらパチンコやらスポーツなんかで、これがこの業界の裏側なのだなぁとついてく気にならなかった。
広い厨房では、揚げ物、ローストビーフ、ポークソテーなど焼き物などを手早く調理し、仕込みなども並行してやっている。
実はここの極辛カレーがとても気に入っていて、そのレシピを入手したかったという企みもあったのだが、当然開示されることはなかった。
シチューなどもそうだが別部屋があってそこで調合し終えた寸胴が運ばれてくるので、皿洗いごときには知り得ようもなく、
ひとつ分かるコトは、カレー仕込みの時は香辛料で全員蒸せ返り、目も痛くなる程の刺激臭が襲ってくるというコトだけである。
あまり居心地のよいポジションではなかったが、あの賄いだけは忘れられない。
なにしろここでのメニュー、なんでも食べられたんです。
寸胴鍋に入ったものは自分で好きな量をご飯にぶっかけたし、ビーフシチューも煮込みハンバーグも美味かった、小さなフライパンで目玉焼きくらい焼けたし、保冷庫に入った肉も時々頂いた。
しかしながら最初に本末転倒と言ったように自分の店に力を入れるべきであり、肝心のBAR営業では眠たい目をこすりこすり欠伸を噛み殺し早朝まで飲んだ暮れては店でひっくり返り、原付バイクで新宿まで通う生活は、とても長続きしなかった。
店主にさらりと聞かれました。
年齢もそうだし、ポジションも皿洗いだし、どうする?って。


2023.アカシア

こないだ東京に行った折り通りがかり、たまらずキャベツとカレーセットを注文。
約10数年ぶりの味は、やはり美味しかったです。(遠ひ目)