見出し画像

『ペイン・アンド・グローリー』(2019)

『ペイン・アンド・グローリー』(2019)

西: Dolor y gloria、英: Pain and Glory)
監督・脚本: ペドロ・アルモドバル
出演者: アントニオ・バンデラス、ペネロペ・クルス

もう飽き飽きだ。
そう思いながらまた配信で映画を漁る。
映画半ばでどうしても続けて観られずに、止めてしまうコトも多々ある。
そんな中、この映画は良かった。

バンデラス、僕のイメージではラテンでアッパーな肉体派であった。

スペイン出身の役者さんなのでラテンは間違ってはいない。
『デスペラード(Desperado』(1995) ロバート・ロドリゲス監督のこれが最初だったか。
名古屋の映画館で独り、見終えた後はかなり高揚しサントラCDを買った。
ロス・ロボスの音楽と、バカバカしい話ながらも圧倒的にカッチョマンなバンデラス、ギターケースからマシンガンを取り出し、敵を根こそぎブッ潰す!

爽快だった。

そしてこの作品であるが、まず映像の色彩に惹き込まれる。
それから、年老いて、草臥れて、見るも無惨なバンデラスがそこに居た。

いやこれは彼なのか? 

世間から隔絶し隠匿生活を送る、忘れ去られた監督という役柄。

話が進むにつれ、先のロドリゲス監督とバンデラスがごっちゃになってきて、

あれバンデラスて監督だったかしら?

と自分自身の記憶が曖昧になり、

ほら、タランティーノもロドリゲスの映画に出てるじゃん、
*『フロム・ダスク・ティル・ドーン (From Dusk Till Dawn』(1996)

監督が役者もやるっていうパターン、

すっかりバンデラスは監督だったと勘違いしながら、

彼も苦労したのだな、

と的外れな感嘆を漏らしながら、ドキュメンタリーのごとく先へ進む。

そう、それだけ彼の演技が、リアルなのだ。

病に苦しみ、鬱へと向かいながら、引き籠りを30年以上続ける嘗ての成功者、
そんな彼が幼少期の自分と対峙しながら、ようやく立ち上がろうとする、

という映画です。

バンデラスはこの映画でカンヌ映画祭で男優賞、作品もパルム・ドールに輝き、
アカデミー主演男優賞ノミネートもされた。

そして相変わらず、ラティーナでマッチョなイカした演技も続けている。

A.Banderas(Pain and Glory)#一骨画