見出し画像

【鉄面皮日記】23/04/26. さよなら東京さよなら日本

今は昔、ホントにあっちへ行ってのかなァと少し疑心暗鬼。
夢の中にいたような2週間、ほとんどが酩酊していたので霧の中。
都会は昨日があっという間に後ろへ遠ざかる。
流され、漂い、ぶつかって、はたと我に戻り、まだ大丈夫と了解して歩く。
たくさん歩きに歩いた。
東京は狭い、狭い場所にたくさんあらゆるものが詰まっていて、ごちゃごちゃと人に溢れ、どうにも収拾がつかないから、なんでもかんでも山積みにして放置されていく。
青山外苑から四谷、新宿、明治神宮を抜けて代々木、それで下北沢までの散歩。
かつて何十年も過ごした下北へは何度も足を運んだ。
もうそこにしか知り合いがいないというのもあるし、よくよく考えてみたら自分はいったい何をしに東京まで来ているのか、そればかり考えたりもするが、ここはそれを適当にスルーしてくれた。

何かすることに大した意味はない。
3日もすればすっかり逆戻りし、人波もスイスイとかわし、このスピードに飲まれてく。
それで何をしにきたかと問われたら、呑みにきたという他ないくらい呑んだ。
かつての友人たちは相変わらず逞しく、僕は気後れしつつ、やはり呑んじゃえば何処でも同じであった。

ここの住民たちは平日仕事に従事し、僕はその間の時間散歩に明け暮れ、夜な夜などこかしらの呑み屋を訪ねる。
僕は生活がここにないから手持ち無沙汰で観光するしかないのだが、5年前ここを立ち去った時にそれをぜんぶ済ませていたことに気が付いた。
もう見るべき場所も知るべき事柄もない。

渋谷の百軒坂にある焼き鳥屋"鳥升"、べろべろになって2階でゲロ酔いした思い出しかなかったが、一階カウンターに腰掛け地元の常連さんと並び、一本づつ串を頼んで、それを丁重に焼いていく親爺さんを見ていたら、
あんまり関係ないなァ、場所云々はとも思えた。

高円寺の先輩と呑んだ時も良かった。
先輩とはかれこれ40年くらいの付き合い、こうやってサシで呑んだのはいつぶりくらいだったろうか。
まるで関係性は変わらず、それでいてゆっくり老いていっている感じ、面白いな時間経過てのは。

あちらから戻って一週間が経つ。
たくさんの人たちと逢い、たくさん美味しいものを食べ、さんざん呑み明け暮れた2週間。
それで思い返しても、たぶん瞬間瞬間を目一杯楽しんでいるので、その時々の感情は上塗りされていて言葉で再現することは難しく、時に懐かしさで目眩がし、逆に避けたかった生活を垣間見てウンザリし、僕にとっての東京は既に遠い昔に終わってしまっていたコトを知るのである。
それを知るための回帰だったかも知れない。