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一番記憶に残るエイプリルフール

テレホーダイの時代から少し経って、ネットも定額で常時接続できるようになっていました。(2000年に入ってすぐ頃のお話し)

この頃同人誌にハマっており、コミケなどにも参戦したこともあります。
その関係で出会った仲間たちと毎夜チャットでワイワイしてました。
学生~社会人、フリーターまでいろんな人間が集まって趣味嗜好の話だったり、オススメの本やゲームなどたわいもないことで盛り上がってました。

そんなある日、チャット部屋に入ると一人のメンバーXから「このニュース見た!?」と1つのURLを渡されました。
そこにはオタクにとって衝撃的な記事が書かれていました。
「まじか…やべーな…」という反応を見せた自分に対して、メンバーXが「今日はエイプリルフールだよ^^」とネタばらしをしてきました。
そう、見せられたニュースサイトは偽サイトだったのです。
ホントに見間違うほど精巧に作られており、アドレスも「.co.jp」と「.ne.jp」くらいの違いしかありませんでした。

ココでちょっと補足の蛇足です。
今の人には意味が分からないかもしれないですが、あの頃は個人でHPを作るのが流行ってました。
・TOPページには来訪者を示すカウンター
・自己紹介ページ
・BBS
最低でもこの辺を抑えたHPを個人で持ってる人がたくさんおり、HPを作成するためのサーバーやアドレス取得などがごくごく簡単に行われてる時代でした。
まったくの素人のHPなんて誰が興味あるんだい?って今なら思っちゃいますよね。

話を戻すと、その偽ニュースサイトもメンバーXが作成したエイプリルフールネタだったのです。
まんまと騙されてしまった自分ですが、他の人がどんな反応をするのか気になって、次にきたメンバーKさんに同じように仕掛けてみました。
「ちょっと、このニュースみた?」
メンバーKも自分と全く同じように引っ掛かってくれて、ネタばらし後には「なんだよ~」という反応をみせてくれました。

その後も次々とチャットに入ってくるメンバーに仕掛けてみましたが、全員しっかりと引っ掛かってくれました。
ひとしきりメンバーも集まったところで「いや~、面白かったねぇ…」と話していると、メンバーYが「これ、にちゃんねるに投げてもいいかな?」と言い出しました。
元々はメンバーXが内輪用に作ったサイトでしたが、「まぁエイプリルフールだしいいんじゃね?」ってことで投下することになりました。

ここからはみんなでにちゃんねるのスレを眺めながらワクワクしていました。
「引っ掛かってくれるかな~?」「あっさりバレるんじゃね?」とチャットしつつ、動向を見守りました。
一部本物か怪しむ人はもちろんいましたが、結構な数の人が引っ掛かってくれたようでにちゃんねる内でも段々と盛り上がっていきました。
この時点ではネタ投下したチャット側でもほっこりとした感じで、エイプリルフールらしくて面白かったね~なんて話していました。

ただ時間が経つにつれてなんだかにちゃんねる内がきな臭くなってきました。
偽ニュースサイトの内容がオタク心にイケナい意味で火をつけたようで、「オタクをなめるなよ!」みたいな動きが出始めていました。
誰かが「0時ジャストにサイトを攻撃しよう!」と言い出し「そうだ!そうだ!」と周りが乗っかり始めていました。
当時の攻撃とはハッキングとか大それた?ものではなく、サイトに行ってF5連打してサーバーの負荷を上げてHPを落とす。というような手段でした。

「なんか…変なことになってきたね…」とチャット内で言いつつも、「まぁいうてもちょっと攻撃されたくらいで何ともならんでしょ」という感じでそこまで心配はしてませんでした。

そして0時…にちゃんねるのオタクたちが動き出しました。
いつもならチャットを抜けて就寝してるメンバーもこの日はことの成り行きを見守っていました。
そして…攻撃されたサーバーは見事に落ち、HPが少しの間閲覧できない状態になっていました…
改めて「にちゃんねる恐るべし…」と思わせた瞬間でした。
幸いにもほどなくHPの方も復旧し、やりとげた感のにちゃんねらーたちも静まってきたので、自分たちも解散しました。

翌日、本物のニュースサイトに「偽ニュースサイト現る、HPがアタックされる」というニュースが上がっていました。
偽ニュースサイトについては昨日のうちに削除していましたが、スクショなどは撮られており、URLが違うこと、エイプリルフールにあてたと思われる偽記事であること、でも中々上手にできていることwなどが書かれていました。
夜にはその本物ニュースをみながらまたチャットメンバーで盛り上がっていました。

結果的に良いことではないのですが、ほんの一瞬、ほんの一部ですが自分たちが世間を賑わせたことにちょっとドヤってしまった感じでした。
最近はエイプリルフールに各企業が楽しませてくれたりしますが、後にも先にもこれより盛り上がったエイプリルフールはなかったです。


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