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伝書鳩

 常々思うのだが、サービス事業所がサービス中の困ったことを逐一報告してくるのは何を望んでいるのか?「それを私に言ってどうするの?」ということを言ってくる人は大抵デンショバトだ。伝書鳩の方がまだ優秀だ。文書を運ぶのだから。戦時中は随分と役に立っただろう。旗色が悪くなり本土決戦が近づくと機密を漏れることを恐れた上層部が慌てて鳩を処分しろと命令し、穴掘って埋めちゃったんだとか…。かわいそうに。その名残なのかk市には愛鳩家が多い。ちなみに、鳩の字に九の字がつくのはクークー鳴くから。

 閑話休題。

 サービス中の対応は事業所でなんとかすべきことだと思っている。家族の協力など必要な場合は、事業所から報告すればよいと思うのだが「昼間寝てて介助が大変なんです。自分で食べられるのに、介助でご飯食べてるんです。起きてくれないと危ないんです」だから、どうしろというのか。声かけて起こして食事の工夫をするのはサービス事業所のサービス内容の一環ではないのか。「それでどうしろと?昼間寝ないで起きてるように家族に言うんですか?言ってどうなるんですか?そもそも、日中起こしてケアするのはあなたたちの仕事ではないのですか?」と、言ったら黙ってしまった。電話をしてきたハトさんも現場から言われてのことだろう。しかし、自分たちの工夫やケアの力量不足を晒すことになるとは考えなかったか?以前も「庭からの出入りは土で車椅子が汚れるので困る」と言ってきた。それも仕方がないではないか、そちらの方が介助の負担が少ないのだから。車椅子など拭けばよいのだ。その手間を惜しんで、要介護者の家族に負担をかけるとは何事か?と、ハトさんは私に言われると、思わなかったのだろうか。誰のためのなんのケアなのか、もう一度原点に戻り考えてみてもらいたい。すっかり、口うるさい小姑のようになったものよ、と思う。しかし、あまりにも浅はかではないか。熱意だけでなんとかしろと言われてきたので、今更同じことは言わない。が、もう少しやりようがあるだろうに。と、思わずにはいられなかった。

 人の最期の場面まで付き合う覚悟で仕事をしている。家族の裏まで知り得ることもある。生半可なことはしたくない。

 そろそろ潮時か。熱量、力量共に熱いところへ引っ越すとするか。

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