自衛官の退職に関連するお金の話
1 はじめに
この記事は、「退職関連のお金を計算するうえで、計算式の枠だけでなく、計算式の根拠を明確にしたい!」という思いで描きました。
自身が退職する際に退職金を計算してみようと思ったら法律等の記載がややこしくて挫折しかけました。
ネットサーフィンをしてみると、多くの計算式やフォーマットがあります。
しかし、どれも根拠の記載はなく、ただ計算式と数値が書かれています。
こんなんでは、記載されている計算式自体が今時点でも正しいのか、前に使用した計算式のどこを改善すればいいのか、理解することはできません。
こうした問題意識から、計算式の数値はいつ時点のどの規則を参照していて、当時はこのような数値を使用していました。が分かる計算式を書こうと思った次第です。
なお、この記事では若年定年退職者給付金における給付金の額の調整(=再就職先で稼ぎすぎたりすると調整はいるよ。的な話です。)については触れません!(防衛省の職員の給与等に関する法律 第27条の4「所得による給付金の額の調整等」)
ここに触れると、字数がとんでもないことになるためご了承ください。
2 概 要
2-1 自衛官が定年退職の時にもらえるお金
自衛官が退職するときに(してから)もらえるお金は、
① 退職手当
② 若年定年退職者給付金
の2種類です!
退職手当(退職金)は有名ですが、若年定年退職者給付金は知ってましたか?
これは、多くの自衛官が60才を迎える前に定年となり、通常雇用されるであろう60才まで働けないことから、その損失を補填するために支給されるお金です。
2-2 退職手当
これは、自衛隊法及び防衛相の職員の給与等に関する法律、そして国家公務員退職手当法によって規定される手当です。
いわゆる退職金で、計算式も通常の国家公務員と同様です。
なお、定年退職なのか、自己都合退職なのか、など退職理由によって大きく増減します。今回は定年退官ver.を扱っていこうと思います。
2-3 若年定年退職者給付金
これは上記でも説明したとおり、定年が通常よりも早い自衛官の救済制度的なものです。
根拠となる主要な法令等は、自衛隊法及び防衛相の職員の給与等に関する法律、そして若年定年退職者給付金に関する省令です。
一生懸命働いたのに他の公務員や民間企業の従業員などに比較して早く退職させられて、しかも救済無し。では誰も自衛官を目指さなくなってしまいますので、大変重要です。
どうも令和5年で制度が更新されたらしく(厳密にいつ改正されたのかは確認中…)、前期と後期の2回、各2回の最大計4回支給されるようになりました。なお、旧制度では2回支給のみでした。
法・省令の書き方がなかなか難しく、計算式を理解するのに時間を要してしまいました…
次から、具体的な計算式・数値を見ていきましょう。
防衛大学校を卒業して、58才退官1佐(一)を迎えた人間を想定した2024年07月末時点での退職関連お金シミュレーションも載せました!
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