「死にたい」と思う気持ちから抜け出すために、あらかじめ準備しておく方法
心が限界を感じたり、死にたいくらいの気持ちになると、思考がうまく働かなくなり、絶望的なまま動けなくなってしまうことがあります。ここでは、いざそんな気持ちになった時に使える「心理的危機対応プラン」=PCOPについて紹介します。準備には30分ほどしかかかりません。少しでも調子の良いときに、時間を作って取り組んでみてください。
簡単なステップで準備できる
「死にたい」 と思うほどのつらい状態のことを、ここでは「心理的危機状態」と呼ぶことにします。その状態から抜け出すための「心理的危機対応プラン」=PCOPは簡単なステップで準備できます。具体的には「紙に必要事項を記入し、それをいつも持ち歩き、時々取り出して見直す」だけです。
まず紙とペンを用意しましょう。いつも持ち歩くようにするため、ポケットや財布に収まるようなコンパクトなカードでもいいですね。もちろんスマートフォンのメモ機能に書いてもかまいません。
ホワイトボードに記入したり、ポストイットに書き出して壁に貼り、それをスマートフォンのカメラで撮影してもいいでしょう。常に持ち歩けて、取り出して、見やすいものにしておくのがポイントです。
5つの項目を記入していこう
順序に従って、5つの項目について記入していきましょう。
A.警告サイン
「警告サイン」とは、あなたが心理的危機状態にあるときに現れるサインのこと。あなたが心理的危機状態に陥る状況やきっかけについて書きましょう。また、その時、心や体ではどのようなことが起きているかについても書いておきましょう。
例:状況「夜、部屋にひとりでいる時」 心「後悔する考えばかりが浮かぶ時」 体「呼吸が苦しい時」
B.セルフマネジメントの方法
動揺した時にストレスをやわらげたりリラックスしたりするための、自分ひとりでできる行動を書きましょう。まずは1〜2個、取り組みやすいものを書けば良いでしょう。
例:プチプチをつぶす・ぬいぐるみを抱きしめる・氷を握る・ 深呼吸をする・音楽を聴く・本を読む・歌う・ペットと遊ぶ・散歩に行く・運動をする・温かいお風呂に入る・シャワーを浴びる・パズルをする・家族や友人からの手紙やメールを読む・好きな食べ物を食べる・料理をする など
C.生きる理由
あなたが「死にたいくらいの気持ち」になっても、これまで生きてこられた理由はなんでしたか? その理由を思い出して書いてみましょう。理由が1〜2個書けたら、そのことについて、できるだけ詳しく想像してみましょう。
また、ひとまず死なずにその場をしのぐため、自分自身にかける言葉を書いておきましょう。たとえば「とりあえず死なない」「今日は死なない」「明日までは生きよう」「今をしのごう」などです。
D.サポーター
心理的危機状態のときは、ひとりで落ち着くのが難しい場合や、セルフマネジメントがうまくいかないこともあります。そんな時、心がひとりぼっちにならないですむよう連絡を取ることができる人や、頭の中にイメージすると少し心がやわらぐ存在を書き出しておきましょう。すでに亡くなっている人でも、動物やぬいぐるみなど人でなくともかまいません。
E.緊急連絡先
特に危ない状況の時や、ここまでの方法がうまくいかない場合は、専門家の支援を受けることも積極的に考えましょう。通院している医療機関やカウンセリング機関がある場合は、その連絡先を書いておきましょう。また、近隣の救急外来の電話番号と「119 に電話」も書いておきましょう。
緊急連絡先の例:厚生労働省 電話相談窓口
どれかひとつを試してみよう
書き終えたら、書いた行動を実際に試してみましょう。たとえば、「セルフマネジメント」に書いた行動のうちのひとつを、実際におこなってみる、「生きる理由」に書いた考えや文章を頭の中でイメージしてみる、「サポーター」に書いた人物を実際にイメージしたり、可能であれば連絡をとったりしてみましょう。
これで準備は終わりです。できあがったPCOPは常に持ち歩き、つらくなったら取り出して眺め、練習通りに実行しましょう。
それでもどうしてもつらくてたまらなくなったら
準備した方法を試しても、どうしてもつらくてたまらなくなった時は、助けを求めることをためらわないでください。「あなたのいばしょ」では匿名でのチャット相談が24時間無料で利用可能です。相談することで、こころのもやもやを解消できるきっかけになるかもしれません。
あなたのいばしょ
また、厚生労働省の支援情報検索サイトでもで相談先を見つけることができます。
厚生労働省 支援情報検索サイト
参考:
「つらい」ときに使えるアイテム(ストップいじめ! ナビ )