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あなたのお子さんはどれ? 学ぶモチベーションの6分類を解説!

こんにちは!公立中高一貫校対策のiBASEです。
iBASEでは最先端の学習理論や教育学的な背景を元に、「精神論」や「根性論」に流されない、本質的な勉強法をお届けすることを心がけています。

今回の記事では「学習動機(モチベーション)」について、解説したいと思います!

どんな受験生にとっても、いかに学習に対するモチベーションを保つか?という点は重要なテーマであるはずです。特に長期休暇中は普段の学習リズムが崩れてしまうことから、なかなか家庭学習に身が入らない!というご家庭も多いのではないでしょうか。

こうした課題を解決するために、「学習動機の二要因モデル」という考え方がその一助になります。東京大学の市川伸一さんが提唱したこのモデルは、お子さんの様々な状況に対応するためにとても参考になる考え方です。

今回の記事ではこのモデルについて解説しながら、日々の学習への活かし方について考えてみたいと思います!


1.「学習動機の二要因モデル」とは?

次の図が、市川先生が提唱した「学習動機の二要因モデル」です。まずはこの6つの志向性について眺めてみてください。

市川伸一『学習と教育の心理学』(岩波書店 , 1995)を元に、iBASE作成。

縦軸:「学習内容の重要性」とは、学ぶ動機として学習する内容がどの程度影響しているか?ということを指しています。

●横軸:「学習の功利性」とは、学ぶことが自分にとって「役に立つか/得をするか」という観点が、どの程度動機に影響しているか?ということを指しています。

いわゆる「内発的動機」と呼ばれるのは、左上に位置している「充実志向」というカテゴリーです。たとえば「とにかく虫が好きで、朝から晩まで図鑑とにらめっこしている!」という状態は、この充実志向に当てはまります。「学習内容」がとにかく大事で学ぶこと自体が楽しく、それが何か自分にとっての得になるか?なんて、特に考えていない状態を指します。

一方で「外発的動機」と呼ばれるのは、右下に位置している「報酬志向」というカテゴリーです。たとえば「次のテストで100点を取ったら、好きなゲームを買ってあげる!」という甘い言葉に誘われて、勉強を頑張っているような状態は、この「報酬志向」だと言えるでしょう。一時的なモチベーションにはなりますが、それは中長期では続かないことが知られています。

それ以外の動機以外の4つも、私たち大人でも心当たりがある内容ばかりではないでしょうか? 「自分はこの動機が多いな」という傾向も見えてくるかもしれません。

2.お子さんは、どの動機?

さて、みなさんのお子さんは6つのうち、どのモチベーションで学びに向き合っている時間が長そうでしょうか? 日々の様子を思い出しながら、少し考えてみてください。

私たち塾講師を含め、生徒に学びを届ける立場にある大人のほとんどは、左上の「充実志向」に至れる子どもを増やしたい!と願っているはずです。学ぶことが手段としてではなく、学んでいることそのものが面白い!という状態こそ、最も理想的な姿であると思っています。

一方で、どんな生徒もすんなりと「充実志向」に至れるわけではありません。特に受験というゴールがはっきりしているゲームに取り組む生徒たちにとって、学ぶことそのものの面白さや充実感をフレッシュに感じ取るのも難しいことです。

そんな状況において、「報酬志向」を活用しようとする大人が多いことは、嘆くべき事態です。「ご褒美」を与えることで学びに向かわせるこのタイプは、短期的には効果を発揮する一方で、繰り返すうちに学ぶ意義を見失い、結果的に机に向かえなくなるケースがほとんどです。このパターンで子どものモチベーションを担保しようとされているご家庭は、今すぐ別の方策に移ることをおススメします。

3.日々の学習に、どう活かす?

ではどうするか?
実は「関係志向」からアプローチしてみるのが、とても効果的です。「近くの誰かが勉強している」というのは、思った以上に大きなパワーと影響力を持っているものなんです。

たとえば、同じ志望校を目指しているお子さん同士のコミュニケーションを増やすことで、相乗的に2人のモチベーションが上がることは、授業をしていてよく見かけるシーンです。実際、iBASEが開講する志望校別の講座では、授業後にZoomの部屋を解放し、全国各地の受験生が自由に雑談する場を設けることがよくあります。それぞれの勉強法や最近の悩みなどをざっくばらんにシェアする時間が、翌日以降の勉強に向かう姿勢を向上させるようです。(昨年度、多くの保護者の方からこのフリータイムへの感謝のお言葉をいただいてきました。)

また同世代の友だちだけではなく、実は保護者の方の影響も大きいようです。かつてiBASEの講座を受講していただいていたあるご家庭では、毎日夜になるとお母さんがダイニングテーブルでおもむろにノートを開き、黙々と語学の勉強をしていたそうです。それを日々見ていたお子さんも、自然とその隣で勉強を始めるようになったとのこと。「勉強しなさい!なんて一言もいったことないんです~」と、そのお母さんはおっしゃっていました。

お子さんのモチベーションを上げるのはとても難しいことのように思えますが、まず一歩目としては、周りにいる大人が学ぶ姿勢を見せるということが、最も本質的・効果的なのかもしれません。

4.参考ブックリスト

今回取り上げた「学習動機」に関するブックリストです。やや硬い内容もありますが、学習するメカニズムについてより詳しく知りたい方は、ぜひ手に取ってみてください!

これからもiBASEでは、日々の学習の役に立つ学習理論を、様々なアカデミックな知見をもとに、分かりやすく解説していきます。


「精神論」や「根性論」に惑わされない、真に学びが深まる勉強法を実践していきましょう。ぜひこれからの記事もお楽しみに!

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