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銀本解説シリーズ | 武蔵野中学校2022(令和4) 社会分野

こんにちは!公立中高一貫校対策のiBASEです。
「銀本解説シリーズ」では、全国の公立中高一貫校で出題された過去問の中から「良問」だけをピックアップし、その解説を連載していきます。


1.今回の問題:武蔵野中学校2022(p.41~)

①問題

グラフや表、レポートなどの資料を見ながら、日本の現在の課題や、国際社会において果たす役割について考えていく問題です。扱う問題は非常にオーソドックスなものですが、複数の資料を結び付けて考える問題であり、資料読解のトレーニングに最適です。

②解答時間

15分を目安に取り組んでみてください。

2.問題の分析

テーマは国際関係。はじめから「ODA」という、あまり聞き慣れない言葉が出てきますが、驚かずにしっかり問題文を読むと、意味がしっかりと書いてあります。
今回は、グラフに加えて文字量も非常に多いです。45分間で大問を3つ解かなければならず、また文章で答える問題がほとんどなので、かけられる時間が最大おおよそ15分であることを考えると、資料の読み取りは素早く行う必要があります。実際、グラフや表自体はあまり複雑ではありませんので、落ち着いて臨みましょう。

3.解答・解説

⓪今回のポイント

グラフには、それぞれのメッセージがあります。そのメッセージを受け取って、効率よく資料を読み取れるようになりましょう。

今回のポイント

例えば図1は折れ線グラフですので、年ごとにODA実績がどのように移り変わっていくのか、その変化を見ていけばいいんだなとわかります。
このように、出題者は意図をもって資料を作っています。その意図を逃さないために、代表的な4つのグラフ(「棒グラフ」「折れ線グラフ」「帯グラフ」「円グラフ」)については、そのメッセージを読み取れるようになっておきましょう。

では、これをふまえて、問題を見ていきましょう。

問題1 図1から読み取れる日本のODA実績の変化の特徴を説明

図1は折れ線グラフです。つまり、ここで問われているのは、「横軸である年で、ODA実績がどのように変化しているのか説明してね」ということです。

図1 ()

とはいえ一見、日本のODA実績は、増減はしているものの、全体として見ればそんなに増えても減ってもいないように思えます。では、何を書けばよいのでしょうか?
ここでもう一度会話文を見てみると、資料の直後にヒントがあります。

武志:図1を見ると、日本のODA実績はかなり変化しているんだね。
文野:実際の拠出額で、主要国中のトップだったこともあるのよね。

みくに出版『栄冠2023年度受検用 公立中高一貫校適性検査問題集全国版』p42

「トップだったこともある」と、順位について話していることがわかります。これは表1にある1977年~1991年の「計画的拡充期」を指しています。

そこで、日本の順位をたどってみると、2009年には2位だったにもかかわらず、2016年にはドイツ・英国(イギリス)に抜かれ、4位になっています。ここを中心に解答をまとめましょう。

(解答例)日本のODA援助額は、2009年には主要援助国中2位だったが、2016年には4位まで下がっている。

折れ線グラフは変化を見ますが、同じ図中に何本も折れ線がある場合、その線同士(今回は国)を比べることが多いです。
あわせておさえておきましょう。

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