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ボトルメッセージのような文学のような音楽。

音楽っていう伝え方はなんてやさしいんだろう。瓶の中に手紙を入れて海に流すみたいだ。
羊文学というバンドを知って、そう思った。

荒野を駆ける この両足で
ゴーイング ゴーイング それだけなんだ
明日へ旅立つ準備はいいかい
そこで戸惑う でも運命が
コーリング コーリング 呼んでいる
ならば、全てを生きてやれ

あの花が落ちるとき、その役目を知らなくても
側にいた人はきっと分かっているはずだから

何回だって言うよ、世界は美しいよ
君がそれを諦めないからだよ
混沌の時代に、泥だらけの君のまま輝きを見つめていて
悲しみに向かう夜も、揺るがずに光っていてよ

羊文学『光るとき』

行け 行け その明日がきみを苦しめようと
行け 行け 痛み知る優しい人でありなさい

萌ゆる草木のように逞しく生きて
傷付いたら泣きなさい

羊文学『マヨイガ』

私は羊文学の、まるで聖書のような「命令形」が好きだ。でも、同じことを拡声器で叫んでも人の心には刺さらない気がする。
きっと、あの場所で吸収したものを、こうして音楽という瓶につめて世界へとつながる海に流す生き方。すごく羨ましいなと、勝手ながら思う。
そんな伝え方ができる音楽ってやっぱり素敵だと思う。

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