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【任地で生きていこうと思う】Herinandro faha 19

以前書いたこちらの記事↓

予想よりも多くの人に読んで頂いたようで、ありがたい。とは、言いながら、人間臭すぎる文章ゆえ、恥ずかしい。

それからというものの、相変わらず「任地が好き」とは言い切れない日々が続いているが、少しばかりの心の変化もある。

「ポテンシャルの塊なんです」

ここ数ヶ月、しんどいながら任地にいて、任地の魅力にも気づき始めている。

「任地に戻りたくない」の続き

実は、「任地に戻りたくないです」と先輩に言った後に、続きがある。

「でも、私の任地、本当にいい街なんです。ポテンシャルの塊なんです」

これが私の本心。
私の任地は、マダガスカルでは珍しいぐらい空気が澄んでて綺麗な街。リピーターの観光客も多い、なのに観光開発はイマイチ。

今の私の任地を一言で表すと、
「物足りない観光地」
だと思う。

だからこそ、たくさんのアイデアが湧いてくる。毎晩、ベットに入って、「こんなことできたらいいな〜」が浮かんで眠れない。やる気は一向に起きないが、妄想だけは膨らんでいくそんな日々。

「歩いているだけでも、楽しい」

先日、先輩隊員が、私の任地を訪問してくれた。

時間もなかったし、移動手段もないので、私の散歩コースを紹介して、一緒にレストランに行った。私の任地は観光地ではあるが、徒歩では名所にはいけないので、「こんな所でいいのだろうか」と一抹の不安を抱えながら、先輩を案内した。

すると、思いの外、先輩は楽しんでくれたよう。普段首都近郊で生活をしている先輩は、私の任地の田舎ならでは自然や空気の綺麗さをとても気に入ってくれた。



正直、驚きだったが、とても良い収穫だった。
ここ数ヶ月、あたりまえのように私の目の前にあった何気ない景色が、誰かのお気に入りになれた。特に、首都などごちゃごちゃした場所で生活する人にとっては、ここは散歩するだけで楽しめる場所らしい。

やっぱり、間違いない、ここはポテンシャルの塊だ。

コミュニティ開発隊員の私は、活動への要請はありながら、特段それに従う必要もない。だからこそ、私にできることがここにたくさんあるはず!

外に出て気づいて変わらないこと、変わること。

この1ヶ月、公務や先輩隊員の送別会などで、遠出をする機会が思いの外、多かった。

そこで気づいたことは、
「どこに行っても変わらないことと変わること」

どこにでもいるめんどくさい輩たち。

任地から逃げ出して他の街に行ってみても、ナンパする輩もぼったくってくる人も相変わらずいる。

どこを歩いていても、後ろから「プスゥ、プスゥ」と聞こえてくる。マダガスカル男性が名前の知らない女性を口説く時にする行為。
これが聞こえるたびに、「しんどっ」と心の中で呟き、無視して歩き続ける。
ここのナンパは本当にしつこい。後ろをつきまとって、逃げると逆ギレしてくる輩もいる。

日常茶飯事で、任地にいても、任地から出ても、めんどくさい輩はどこにでもいる。この国から出ない限り、どこに行っても、この生きづらさは、無くならないことがわかった。

ここにしかいない人たち。

しかし、出先から任地に戻ってきてホッとすることもあった。

私にだけ懐いている大家さんのペットのキツネザル。
私の顔を見るとパッと笑顔になる赤ちゃん。
遠くから私の名前を呼んでくれる子どもたち。
通りすがりに挨拶を交わす顔馴染みのおっちゃん、おばちゃん。
私専用のご飯の量を出してくれる食堂のお姉さん。
「今日は、祭りよ」と強引に私の手を引っ張ってご飯を食べさせてくれるお肉屋の女将。
「私はここでは、あなたのお母さんよ」と言ってくれる大家さん。
「あなたがいないと寂しい」と言ってくれる同僚たち。

私が数日間、任地を不在にすると、通りすがりの人たちは、
「長くみてないけど、どこに行ってたの?」
と聞いてくれる。

初めは、正直、とても驚いたし、少し窮屈に思えた。しかし、みんな私を気にかけてくれているということなんだと思う。

赴任して約3ヶ月、言葉もろくに話せない私に親切にしてくれる人たちがここには、ちゃんといる。嫌な人たちで心を苦しめるより、そんな大好きな人たちへの感謝や喜びで心を満たしたい。

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