見出し画像

子供がなかなかできない話

私たち夫婦は、妻38歳、夫44歳。妊娠できないわけではないけど、第一子の妊娠に適しているといわれる年齢は終わっている。
しかし私たち夫婦が出会ったのは私が37歳になった直後。結婚パーティをしたのは38歳になった日なので、今より早い妊活は不可能なのだ。

私はどうしても子供が欲しいと言うわけでも、熱心な子供好きというわけでもない。むしろワンオペ育児には体力的に耐え切れないだろうから、子供は産まない方がいいと考えていた。
しかし家事をちゃんと手伝ってくれるパートナーができて、子供の世話もたぶんしてくれそうと思ったとき、むくっとどこかに隠れ潜んでいたサムシングが言った。
「ワンチャン……キッズいけるんちゃうか?」

ワンチャンに賭けるとしたら、時間を無駄にするわけにはいかない。持病もあるのでますます無駄にできない。持病の医者にも「検査とかで時間がかかるから薬の調整が済む前にさっさと不妊外来にいけ。なんならもう帰りに行くくらいでも構わん」と急かされた。
結果、私は排卵障害がむかーしからあったせいで超大量の在庫があった。
在庫の質は置いておくとして、在庫がないからキッズ製造不能です!という事態は免れた。不具合ではあるが、なんだかグッジョブ感もあり複雑な感情。

とりあえず保険適用は受けられるので、保険の範囲から一つずつ試していく我々。すぐには無理だろうと思っていたので、最初は生理がきても気にならなかった。オッケー、次回に続く! To be continue!

しかし半年ほどこれを繰り返していると、だんだん自信を喪失してくる。私にはキッズを製造する才能が無いのでは…?(才能?)ワンチャンだと思っていたけどノーチャンなのでは? え、次とかもまたなんかダメなんじゃないの。どうすんのこれ。こんな感じの胸中である。

まだ保険適用または助成金の対象となる治療なので、完全な自費になるまでは続けようと思う。だが自費で不妊治療をするつもりはない。保険または助成金には拠出限度はあるものの、人口を増やさねばという切迫度は高い超高齢化社会ニッポン。治療の効果が出やすい範囲には、ちゃんと手当がされているのだ。
つまり保険も助成金ももらえない状態になったら、可能性は0ではないが「リターンが得られる可能性が低いので、公金を投下する価値はない」ということだろう。

さらに終わりも見えなくなってしまう。金さえ払えばいつまででも治療を続けられるとしよう。できればいいが、できなかったらいつ止める? 不妊治療は永遠に続けられるほど、楽ではない。
生理が来たら卵子の成長を促す薬をもらいにいき、ちゃんと育ったか、排卵時期はいつか確認するために周期中頃から2日に一回くらいのペースで通院、エコーと採血。
さらに処置の日があり、排卵を促す注射を打ったり、まだあるがとりあえず置いておこう。
私は在宅のクリエイターなので、比較的空いている平日の昼間にいけるけれど、それでも待つときは待つ。
だから期限のない戦いには、挑まないと治療を開始する段階で強く心に決めた。期限のない戦いに挑もうとしていたら止めてくれと、パートナーに伝えてもいる。

もしも全ての助成を使い切っても、私が子供に恵まれなかった場合、同じように両親に恵まれなかった赤子さんを乳児院で引き合わせてもらおうと思っている。
その時は運が悪かったもの同士、仲良くやれるんじゃないか。

もうちょっとだけあがいてみるが、運の悪さで繋がる家族ってのも悪くはない。待ってろキッズ。今どこに居る何かは知らんがそのうち育ててやるので覚悟しておけ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?