神のような他者が現れて俺にドロップキックをしてほしい

変な人生だなと思う。
自分は無職で実家に住んでいる。28歳だ。
俺は他人のことを実際には知らない。だけど、いろいろな情報から察するに、実家暮らしで無職の20代後半というのは、おそらく特殊なグループに入る。
そして、自分は、会ったこともない「概念の他者」、「メディアが伝える他者」と自分を比較して、嫌な気分になって、膨大な時間を過ごす。そしてそんな時間の過ごし方をしてしまったことに、さらに嫌な気分になる。なぜなら、「自分は無職で、時間があるにもかかわらず、今日一日を無駄に過ごしてしまった」と思うからだ。そして「無駄」というのも、「他者が言いそうな、他者の観点からの無駄」なのだ。
人生はすべて無駄じゃない、とか、そういうことではない。いや、そう言えたら良いのだろうが、そう言い切れるほど自分はまだバカになれていない。
ただ、本当は自分では無駄と思っていないから、「無駄と思われるような過ごし方」をやるのではないか。ということだ。

どこかで、他者を猛烈に嫌に思っている部分がある。これはうまく説明できない。なんでも説明しようとするのは厄介だし、精神的なものの原因なんて、そのときの気分とかによって左右される。
じゃあなんで他者に見せるためにこの文章を書いているんだろう、自分のためならワードで保存しておけばいい。黙ってろ。「他者が見るかもしれない可能性」を確保しつつ、なるべく他者のことを考えない文章を書くのがいいんだ。

確実なのは、何らかの意味で他者に対してネガティブなイメージを持っているということだ。
そして、それをどうすればいいのか、よくわからなくなっている。
そういうネガティブな他者から「君の一日は無駄だね」なんて言われることに、耐えられない。

神のような他者が現れて、救ってほしいのだろうか。それができたら一番いいだろう。

今自分は、多くのことに意味を見出せなくなっている。
いや、これは仕事を辞めてからの話ではない。
中学生くらいのころから、すでにたいていのことの「面白さ」よりも、「他人の厄介さ、他人と自己の摩擦で生じる自意識の嫌さ」のほうが上回ってしまっていたと思う。
お笑いが好きだったが、いつのころからか、話の内容よりも「自分だったらそんなことしないな」とか、「今のいい方は不愉快だな」とか、そんなことばかりが目に付くようになった。

そして、これを書いている今も、「就活とか転職では自己分析云々をいうが、俺は気が付けば自己分析をしているが、ポジティブに分析できたことなんかないよ」と怒りがわいてくる。まぁそんなのは関係ないんだ。すべてのメッセージは別に自分に対して発せられているわけではない。

話は戻るが、意味を見出せないということは、金を使わないということでもある。わざわざ高い金を払いたいと思うようなことがこの世に一つもなくなっている。
セックスくらいだろうか。いや、風俗は高い。マッチングアプリでセックスのためにあった女とのホテル代くらいか。
最近は、ラブホテルも高いと思っている。数時間の休憩で何千円も払うのならば、ビジネスホテルに泊まったほうがいい。しかも、ビジネスホテルの「必要最低限」の感じは、むしろセックスにおあつらえ向きだ。また話がそれたが、まぁセックスの話は大事だ。

自分は仕事をしていたとき、同じ部署にいた人妻とどうしてもセックスしたかった。でもできなかった。
自分はそこまでその人と仲良くなかったし、当然だ。ただ、俺はその人が倉庫でなんかの書類を探しているとき、座りながら前に手を伸ばして書類を探しているとき、この人はこんな風にフェラをするのだろうか、とか考えて勃起した。仕事を辞めちゃうんだ・・・とか残念そうにしているさまを見て、「今すぐ犯してやろうか」と言いたかった。俺はまじめだから犯せなかった。

自分は普通の恋愛ができなくなっているな、と思う。もうセックスのことしか考えていない。
完全に女の人のことを性欲のための存在とみなしている。いや、別に好き勝手セックスできるわけでもまったくないんだけど。
これは、自分が「こどおじがまともに恋愛するのなんてばからしい」と思っているからというのもある。
「恋愛には金がかかりすぎる」と思っているのもある。ただ一番大きいのは「まともに異性と付き合ったことがないまま、セックスをし始めてしまったから」というところにあると思う。

ただ、別に結婚も子どもも望んでいないのだから、まともに恋愛なんてできなくてもいいだろう、という考え方もできる。事実、そういうことを声高に主張して、恋愛する奴は馬鹿だ、というメッセージを発する人間も、探せばいくらでもいるだろう。
ただ、自分は疎外感を感じてしまうんだ。

この疎外感というのは大きいんじゃないか。
必ずしも自分は明確な他人と比べているわけではない。
何かのテーマに自分が参加できていないことが悔しいし、嫌になるんだろう。
それはメディアが扱うことでも何でもいい。

仕事をテーマにした何かについて、自分はその集合から除外されている。
恋愛をテーマにした何かでもそうだ。
もっと言えば。何かを真剣にやる、というテーマからも、自分は疎外されている。
最終的には、若者をテーマにした何かからも疎外されるんだろう。

この疎外感をどう扱ってやればいいのだろう。
ありきたりだが、居場所を確保することだろう。
急に書いてて嫌になってきた。
急に書いてて嫌になってきた、で終わる小説があったらなんか救われると思う。

立派に生きようとするのをやめないと。
え、無職なのに立派に生きようとしているのかよ、となるだろう。
俺は間違いなく立派に生きようとしている。そこにドロップキックを浴びせて、
「お前はもっと下品に、下劣に、貪欲に、人生を生きていく方向で考えないといかんぞ。いやお前はセックスばかりを考えているけど、下品に生きるとは、もっと下品だ。例えば人前で失敗してもなんとも思わない、とか。お前は人前で何かをやることについて、まっとうであろうとしすぎて、それで全部嫌になったんだろう。お前は全然外見に金をかけないけど、もっと下品に、格好つけて生きていくということがなんだかんだで、ちゃんと生きるなら大事なんだ。そういう、自分にとって「下品なこと」について、誰も教えてくれない。お前はマンコを舐める時も、他人に気をつかっているな。もっとちゃんと下品に舐めなさい。いや、外見は十分下品だが、内面が格好つけている。内面で格好つけないで、外見で格好つけろ。生きるとは下品になることなんだ。どれだけ下品になれるかなんだ。お前は性犯罪者になるくらいの気概を持っていきるくらいがたぶんちょうどいいんだ。」
といってくれる人が、いてほしい。


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