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TM NETWORK「RESISTANCE -TK Remix-」:原曲の輪郭の内側で、エレクトロニック・サウンドが意識を侵食する

TM NETWORKのアルバム『DEVOTION』では、過去に発表した曲のリミックスが聴けます。いずれも下敷きにしているのは2021~22年のライブで使われた音です。アルバムを頭から再生して最初に聴けるリミックスが「RESISTANCE -TK Remix-」です。

TK Remixのもとになったのは〈TM NETWORK How Do You Crash It?〉でのアレンジですが、その原型は2013年のライブにあります。2013年は小室さんがEDMに傾倒し始めた時期であり、バンドで演奏されることが多かった「RESISTANCE」もEDMの装いで音が再構築されました。そうした流れの先端に位置づけられるのがTK Remixです。

「RESISTANCE」の特徴はギターで弾くようなリフをシンセサイザーで表現した点にあり、リリース当時から小室さんのお気に入りでした。TK Remixではイントロをはじめ随所で、このリフをシーケンサーの無機質な音で鳴らしながら、さらにオリジナルに近い音で重ねます。ライブよりも音が整理されたことでリフが強調され、より印象的に響きます。

他のリミックスと比べてオリジナルに寄ったアレンジですが、細部に目を凝らすと興味深いアプローチが散見されます。特にインパクトがあったのがイントロです。ヘッドフォンで聴いたとき、曲が始まった瞬間のACID的な音の距離感に驚きました。耳元どころか脳内で鳴っているかのようです。そのままキックや件のリフが流れ込み、意識は音に侵食されます。


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