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TM NETWORK「TOMORROW MADE NEW」:1990TMNロックの痕跡、1970年代初期的ロックのリワインド

TM NETWORK「TOMORROW MADE NEW」は、ロックを軸にした〈RHYTHM RED TMN TOUR〉のステージで初めて披露された曲です。低めのBPMで、YAMAHA EOSの音を重ねつつも全体的に渋さを醸すサウンドでした。特にギターがブルージーな雰囲気を漂わせる、1960年代末から1970年代初期にかけてのロックを感じる演奏です。このツアーから参加したギタリストの葛城哲哉がイントロで「Heartbreaker」を弾いたライブ映像が残っています。

〈RHYTHM RED TMN TOUR〉の時点で「TOMORROW MADE NEW」は未発表曲であり、ツアー終了後に録音されました。ハウス・ミュージックなど多様なジャンルの音がパッケージされた、1991年のアルバム『EXPO』で聴くことができます。アレンジが変わり、歌詞も一新されました。坂元裕二のペンによる歌詞は『EXPO』のコンセプトに沿い、地球と宇宙を移ろいます。なかでも♪宙に落ちていく二人 果てしなくゼロをつなぐ♪というフレーズが好きです。

スタジオ録音では、ギターとリズムが構築する分厚い音に明るく跳ねるシーケンサーが重ねられ、彩り鮮やかな曲に仕上がりました。加えて、随所で強調されているのがオルガンであり、特に間奏で披露されるソロに魅せられます。このアレンジでブルージーな雰囲気は薄まったものの、オルガンの音が1970年代ロックの香りを放ちます。1990年に表現されたTMNロック、その最後の痕跡を「TOMORROW MADE NEW」に見ることができます。


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