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TM NETWORK「Please Heal The World」:バトンは宇宙から世界に投げ込まれ、人々の間を巡って新たな謎と鍵を届ける

看板にNFTという文字が光る店で、バトンと引き換えに少女が受け取ったのは三つのチェスの駒――。TM NETWORKのBlu-ray『TM NETWORK How Do You Crash It?』の最後に流れたシーンで、三つのピースは何を意味するのかという謎が提示されました。ところが、リリースのわずか一週間後、新しい曲の存在を示していたことが明かされます。「Please Heal The World」と題した新曲がLINE NFTで販売されました。

物憂げなピアノの響きで始まる「Please Heal The World」。シンセサイザーの音は徐々に厚くなってエレクトロらしさを強め、ボーカルとコーラスが ♪Please heal the world now♪ と繰り返します。ゆったりとしたテンポのなかでエレクトロニック・サウンドが層を成し、歌声はサウンドに溶け込み、その一部であるかのように響きます。

ボーカルの占める割合が小さいため、歌モノというよりほぼインストゥルメンタルです。既存の曲を引き合いに出すなら、雰囲気は異なりますが、「GIVE YOU A BEAT」や「BANG THE GONG」でしょうか。ともにアルバムの一曲目に収録され、ライブではオープニングや中盤の切り換えに使われました。「Please Heal The World」も次のライブの開幕を飾ることが予告されています。

データには「Please Heal The World」に加え、三人の音声が収録されています。この記録が再生するのは、過去のプロジェクトに登場したバトンの記憶です。木根さんは〈TM NETWORK FANKS CRY-MAX〉、小室さんは〈KISS JAPAN DANCING DYNA-MIX TM NETWORK ARENA TOUR〉、ウツは「KISS YOU」のビデオ撮影や〈TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30〉を挙げ、バトンを使った演出について語っています。

登場と潜伏を繰り返しながら、常にバトンは何かしらのメッセージを届けてきました。「How Do You Crash It?」シリーズに始まる今回のプロジェクトでも重要な役割を担います。何のためにバトンの記憶を掘り起こしたのでしょうか。次のステージでは何を示唆するのでしょうか。あるいは手品のように、そちらに意識を向けさせておいて、別の仕掛けを用意しているのかもしれません。

A quote from the voice record of Naoto Kine

バトンのエピソードを話す合間に、木根さんは「TM NETWORKは不思議で出来ている。解けそうで解けない、でも難しそうで意外と易しい謎で出来ているんじゃないかな」(「Please Heal The World (The Baton EP. 2)」)と語りました。バトンは謎をもたらし、一方でヒントを投げかけ、しかしまた新たな謎を残します。螺旋を描く謎に組み込まれた僕ら(FANKS)はバトンに導かれ、「FANKS intelligence Days」と名付けられた新しい7 daysに向かいます。


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