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Afrojack「The Spark -Tetsuya Komuro Remix-」:ソフト・シンセの音を重ねて「小室哲哉のサウンド」を深化させた実験的アプローチ

ヨーロッパやアメリカでは、心躍るEDMが次々と生まれます。素晴らしい声を持ったシンガーが参加する、DJ/producerどうしが共作する、そして互いの曲をリミックスする。多彩なクリエイティビティの衝突がEDMシーン全体を盛り上げ、そうなると次のスターが生まれやすくなり、さらにファンも増えていくのだと思います。

僕がAfrojackの名を知ったのは2013年頃で、格好良いと思った曲のひとつが「The Spark」です。EDMらしいシンセサイザーの明るく太い音が魅力的で、ダンス・ミュージックの気持ちよさを存分に味わえます。アコースティック・ギターの音も大事な役割を果たしており、緩急をつけるのに貢献しています。また、Spree Wilsonというシンガーの歌は軽快で、メロディの良さが伝わってきます。

TiëstoをはじめとしたDJ/producerが参加したRemixesには、小室哲哉の名前もあります。ボーカルをほぼそのまま残し、ぐっと抑えた雰囲気の音で構築されています。オリジナルに感じるパーティー・ソング的な明るさとは距離を置きつつも、エレクトロニック・サウンドの魅力を伝えようとするリミックスです。

2013年は小室さんがEDMに傾倒し始めた時期です。どのようにソフト・シンセの音を自らのサウンドに組み込み、自分なりのEDMを作り上げるか模索していました。その痕跡を「The Spark -Tetsuya Komuro Remix-」に見ることができます。丁寧な音の重ね方が小室さんらしさだといえます。


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