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FANTASTIC◇CIRCUS「火の鳥」:巡り巡ってメロディの記憶を接続するロック・ソング

1997年にデビューして2005年に解散したFANATIC◇CRISIS。石月努、KAZUYA、SHUNの三人が集まり、FANTASTIC◇CIRCUSというバンド名を冠して結成30周年を記念するライブを2022年に開催しました。アニバーサリーはライブに留まらず、FANATIC◇CRISISの前半期に発表したシングル曲をFANTASTIC◇CIRCUSで録音し、2023年にアルバムとしてリリースします。

デビュー曲「SUPER SOUL」や自主レーベルに移行した後の「Behind」など、アルバム収録曲は僕が聴いていた期間をカバーしています。なかでも好きな曲が「火の鳥」です。ヒット・チャートの上位に名を連ね、メディアにも頻繁に取り上げられるようになったトリガーの曲といえます。

FANTASTIC◇CIRCUSで演奏する「火の鳥」は、構成やアレンジの方向性は原曲を踏襲しています。新しいフレーズを加えたり、ジャンルが変わるほどにアレンジを変えたりする再録音ではありません。だからこそ、メロディの良さや音の良さが高い解像度で伝わってきます。原曲を聴いていたときには強く意識しなかった曲の魅力に気づき、迫ることができます。

ギターの上を疾駆する軽快な鍵盤の音、間奏で駆け巡るギター・ソロのメロディアスな演奏。心を揺さぶる美しいメロディが「火の鳥」の大きな魅力です。それが極まるのが♪誰も皆 失った♪から始まる最後のフレーズでしょう。ボーカルが生み出すメロディの哀愁が感動を呼び、スクランブルされた感情のままエンディングの演奏に取り込まれます。もっと聴きたい、終わってほしくないと思いながら、目の前で音は消えていきます。

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