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ORESAMA「Gimmme!」「夜行ノ雨」:音は夢の世界を巡り、歌は雨降る夢に色を重ねる

ORESAMAぽん/小島英也)のシングル「Gimmme!」がリリースされました。表題曲が先行してストリーミング配信され、その一週間後にCDとしてリリースされました。

最初に「Gimmme!」を聴いたとき、ORESAMAの持つポップさが強調された音だと思いました。ここ数ヶ月、Dressup cover企画でファンクやエレクトロに寄せたアレンジを聴き続けてきたこともあって、「Gimmme!」のアレンジがストレートなものに感じられます。途中でオルゴールを模した音が夢に導くような柔らかさを出しますが、しかし大部分のサウンドからは爽やかに吹き抜ける風を感じ、足取りを軽やかにしてくれます。

シングルには「夜行ノ雨」というミディアム・テンポの曲が収録されています。雨の音で始まり、エレクトリック・ピアノの音を効かせたサウンドに包まれて、ぽんの歌が響きます。バラードの雰囲気を感じさせながらも、一方で心を弾ませるポップさもあり、最後は静謐な空気に包まれる曲です。

ORESAMAで披露してきたバラードと比べて、一層美しく、一層切なく響くボーカルです。「秘密」や「SWEET ROOM」など似た雰囲気の曲はありましたが、歌声の質が異なる気がしました。いつになくエモーショナルな歌い方が「夜行ノ雨」のメロディにぴたりとはまり、聴き手の心をぎゅっと締め付けます。雨に濡れた秋の夜に響く美しい歌声です。

夢や眠りをモチーフにしたシーンを散りばめた「Gimmme!」のミュージック・ビデオには、ORESAMAのライブをサポートするメンバー(MONICO三浦光義大松沢ショージ)が加わった演奏シーンも収録されています。そのパフォーマンスはずっと5人で活動してきたバンドのようです。

2019年後半のライブから、従来のDJとベースにキーボードを加えたことで、ぐっとバンドらしくなりました。2020年8月の〈ORESAMA ONLINE STUDIO LIVE〉でも同じ顔ぶれで演奏し、「Gimmme!」のビデオに全員が出演。こうした流れを見ると、このスタイルでORESAMAのライブのサウンドをつくっていくことを意味しているのかなと思います。

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