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deadmau5「There Might Be Coffee」:ループする高密度のキックと身体に巻きつくソフト・シンセの音に酔う

EDMシーンにおける著名なDJ/producerは誰か。そう問えば、多くの名前が挙がることと思いますが、その長いリストにdeadmau5(デッドマウス)が含まれることは間違いありません。僕がdeadmau5の音楽を初めて聴いたのは10年ほど前。2012年に発表されたアルバム『> Album Title Goes Here <』を聴いて、なかでもメロディアスなシンセサイザーの音が印象的な「There Might Be Coffee」を好きになりました。

「There Might Be Coffee」で主役となるシンセサイザーの音は大きく分けて二種類あります。テーマ・メロディを奏でるシンセサイザーと、リフで存在感を放つシンセサイザー。別々のシーンで鳴り、ときに重なって、タイプの異なる哀愁を漂わせます。エレクトロニック・ミュージックの魅力を、有無を言わさず聴き手に注入するサウンドです。シンセサイザー・サウンドを支えるリズムも素晴らしくて、特に濃密なキックの連打や絡みつくベースに酔います。

『> Album Title Goes Here <』はEDMというジャンルを知った頃に聴いた作品のひとつです。僕にとってジャンルは新しい音楽への入り口です。プログレもオルタナもジャズもジャンルという名のゲートをくぐり、それぞれの音楽世界に入りました。EDMも同様です。EDMというワードを目にして、大きく盛り上がっているジャンルであることを知り、そして素晴らしい音楽の数々に出会いました。10年以上が経った今でもEDMは僕の好きなジャンルであり続けています。新しい扉を開いてくれた音楽に感謝を込めて、リズムにメロディに酔うとします。

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