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TM NETWORK「KISS YOU -TK Remix-」:新たな装いのエレクトロニック・サウンドが曲を支配し、印象を塗り替える

TM NETWORKの「KISS YOU」が発表されたのは1987年。シングルとアルバムでアレンジが異なり、シングルはファンク、アルバムではロックの色が濃くなっています。1989年にはChicのBernard Edwardsが手掛けたリミックス「KISS YOU (KISS JAPAN)」が発表されました。

リミックスとしては1989年以来となったのが、アルバム『DEVOTION』で聴ける「KISS YOU -TK Remix-」です。〈TM NETWORK TOUR 2022 FANKS intelligence Days〉で使った音をもとにしています。ツアーで聴いたときは、もう少しでバランスが崩壊するのではないかと思うほどに重く分厚い音に衝撃を受け、オリジナルからの乖離に驚きました。

TK Remixの特徴は、イントロからエンディングまで曲の大部分を支配するオーケストラ・ヒットであり、ときにベースやドラムと一体化して聴き手を激しく打ち付けます。1980~90年代の曲やライブで耳にした音ですが、このリミックスで聴けるオーケストラ・ヒットに懐古的な雰囲気は感じられません。繰り返し響き、原曲のイメージを塗り替えます。

オーケストラ・ヒットのインパクトがかなり強いアレンジですが、その裏でループするエレクトロニック・サウンドもTK Remixで追加された新しい要素です。このEDM的な音が描くスパイラルは、表のオーケストラ・ヒットとともに両面からサウンドの印象刷新に寄与します。新しい音のレイヤーを意識しながら聴く楽しみを与えてくれるリミックスです。


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