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Rie fu「Somebody’s World」:アコースティック・ギターとベースの音に包まれ、歌は言葉とメロディを編む

2004年にデビューしたシンガー・ソングライターのRie fuは、翌年1月にデビュー・アルバム『Rie fu』をリリースしました。僕がRie fuを知ってシングルやアルバムを聴くようになったのは数年後ですが、このデビュー作を聴いたとき、強く惹かれた曲のひとつが「Somebody’s World」です。アルバムの三曲目に収録されています。

身体を包む追い風のようなアコースティック・ギターの音、温かみを感じるベースの音。魅力的なふたつの音を含むバンド・アンサンブルが心地よい時間を提供します。けれども毒や闇を含む歌詞の雰囲気は音と対照的です。相反する要素が一曲に統合されるなかで、バックトラックを縫うように響く体温低めのボーカルが言葉と音をつなぎます。

そんな「Somebody’s World」をライブで聴く機会を得たのは一度だけ、2010年の〈Welcome to at Rie TOUR〉です。SNSでリクエストを募集していたので、僕はこの曲を挙げてみました。ライブ当日、セット・リストに組み込まれて嬉しく思ったことを覚えています。バンド・スタイルでリズムを浴びながら聴けて、しかも間奏でコンガを入れるアレンジに感動しました。

2019年の終わりにロンドンと東京でライブ・レコーディングした「Rie fu Classics London/Tokyo Sessions」という企画があり、その20曲に「Somebody’s World」も選ばれました。ジャズのフレーバーを感じる演奏によって、オリジナルがまとっていたクールな空気がさらに濃密になり、もっと格好良くなっています。素晴らしいパフォーマンスです。

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