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焦田シューマイ・おみおみ・木場健介『ザコ姫さまは生きのびたい!~処刑の危機は、姫プレイで乗り切ります~』:姫は攻略情報で生きる道を拓き、禍は転じて使い魔と化す

細密かつ美麗な絵が彩る剣と魔法のファンタジー。ガンガンONLINEで連載中の漫画『ザコ姫さまは生きのびたい!~処刑の危機は、姫プレイで乗り切ります~』(原作:焦田シューマイ、作画:おみおみ、構成:木場健介)の第二巻が刊行されました。カバーではキャラクター、衣装、道具などが本文以上に細部まで描かれ、それらを引き立てるのは紫を用いたブック・デザイン。紙の感触や発色とともに美しい絵を堪能します。このまま額縁に入れて飾りたい。

主人公はゲーム内の世界に転生し、ある国の皇女「セスリア」として第二の人生を始めました。しかし、待ち受けるのは数年後の処刑エンド。運命を回避しようと思い立ちますが、大した能力もコネもない第三皇女はまず城内で生き残らねばなりません。そこで選んだのが「姫プレイ」。前世では無縁だった姫プレイを駆使して今世の生きる道を拓く――と本人は息巻いているものの、今のところフル活用するのはゲーマーだった前世の知識や経験ですが。

第二巻では、最初に倒した敵の「グイド」が小さくなり、使い魔「グイグイ」として仲間になります(カバーの右下にいる奴)。有能で狡猾な魔術師ですが、頻繁に気の毒な目に遭うキャラクターです。セスリアとグイグイは秘密を抱えた者どうし、意外と息の合ったコンビネーションで目的に向かって突き進みます。

後書きによるとグイドは早々に退場する予定でした。しかし、おみおみさんのキャラデザが好評を博し、単発で終わらせるのが惜しくなったそうです。その結果が、グイグイ。最初はいけ好かない敵でしたが、使い魔になるあたりからマスコットの地位を得ます。妙な愛らしさと不憫さが相俟って、アプリのコメント欄でも人気(同情を含む)のキャラクターに進化しました。必死に可愛く振る舞いながらも可哀そうな姿で転がるグイグイと、それを操るセスリアから今後も目が離せません。


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