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Eir Aoi Special Live 2018 "RE BLUE" at NIPPON BUDOKAN [PART2]

久しぶりのライブということで、そのパフォーマンスからはアーティスト藍井エイルの新しい姿を見せたいという気持ちが伝わってきました。そのひとつが、黒いエレクトリック・ギターを弾きながら歌った「KASUMI」です。ギターは活動休止中に練習していたそうな。また、ステージに6人のパフォーマーを迎えて、ロックの音にエンターテインメントの要素を加えます。「アクセンティア」では、パフォーマーがフラッグ・パフォーマンスを披露しました。続く「レイニーデイ」では、ステップを踏みながらハンドクラップで会場を盛り上げます。さらに「GENESIS」で大きくて長い布を広げたり上下に振ったりして、ダイナミックな演奏を視覚的にも表現しました。最後は、絡み合う布に呑み込まれるようにして彼女が奈落に姿を消しました。

ステージではエイルバンドが「GENESIS」のアウトロを演奏します。ほとばしる音。プログレを思わせるテクニカルで重厚な演奏が会場を支配し、このライブのサウンドを支えるメンバーの凄さを改めて感じさせます。ダイナミックな演奏を存分に味わった後、間髪入れずに響くのは「シューゲイザー」のイントロです。肌をざらりとなで、心まで呑み込むような、暴力的とも思えるメロディが特徴的な曲です(書いたのはGLAYのHISASHI)。黒い衣装に着替えた彼女が登場します。ハイトーンで歌うサビは圧巻です。

Eir Aoi Special Live 2018 "RE BLUE"
2018-08-16 at NIPPON BUDOKAN

約束/IGNITE/AURORA/アヴァロン・ブルー/MEMORIA/アカツキ/KASUMI/アクセンティア/レイニーデイ/GENESIS/シューゲイザー/流星/ラピスラズリ/翼/シンシアの光/INNOCENCE/ツナガルオモイ/虹の音/シリウス/ヒトカケラの勇気

ライブの終盤は、最新シングルの「流星」を披露すると、「ラピスラズリ」「翼」「シンシアの光」「INNOCENCE」といったお馴染みの曲を続けて演奏します。「ツナガルオモイ」を聴いていると、「Eir Aoi 5th Anniversary Special Live 2016 "Last Blue" at NIPPON BUDOKAN」のときに、この曲の途中で彼女が歌えなくなったことを思い出しました。あのときと同じようにハンドクラップで盛り上がりながら、表情は大きく異なります。

「ツナガルオモイ」から「虹の音」へのつながりも、Last Blueを想起させました。この曲で歌われる「ありがとう」は、同じ言葉でもシチュエーションによって異なる意味を持ちます。「虹の音」は、Last Blueの最後に歌われた曲であり、「さようなら」を込めた「ありがとう」でした。けれどもRE BLUEでは「待っていてくれてありがとう」という意味を感じました。未来へ向かうパフォーマンスは、やはり心を熱くさせます。音楽家としてのキャリアを閉じる場面に次々と遭遇する中で、彼女の活動再開のニュースはとても嬉しかったし、その時の気持ちがライブを観ながら再び湧き上がってきました。

アンコールでは、「RE BLUE」とプリントされたTシャツを着た彼女が「シリウス」を歌います。パフォーマーも再び登場し、演奏に華を添えました。そして最後に披露された曲は「ヒトカケラの勇気」です。「流星」と「約束」とともに最新シングルに収録されている曲であり、どちらの曲ともタイプが異なり、明るく突き抜けるような雰囲気が気持ちを盛り上げます。駆け抜けてゴールテープを切るような、走りきった感じを与えてくれました。

パフォーマー、バンドメンバーとともに挨拶した後、彼女はひとりステージに残ります。彼女のために青くデコレートされたマイクをスタンドに戻し、その肉声を観客に届けると、ステージから去りました。それは、次のステージに向けて歩み出す一歩でもあります。次のシングル「アイリス」を10月にリリースすることも発表されました。RE BLUEというひとつの始まりが終わり、同時に新しい道が目の前に開かれます。素晴らしいライブでした。


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