BLACKPINK『KILL THIS LOVE』:世界中の音楽ファンを巻き込み、螺旋を描いて大きくなる四つの歌声
2019年4月、BLACKPINK(블랙핑크)のEP『KILL THIS LOVE』がリリースされました。リリースが迫ったころ、YouTubeでは四種類のティザー映像が公開されました。表題曲「Kill This Love」のミュージック・ビデオの一部を切り取り、ひとりずつその表情をピックアップした映像です。ティザー映像で垣間見えた要素だけでも、この曲の雰囲気をつかむことができました。
「Kill This Love」の音はダイナミックに荒々しく、アレンジはリズムを中心にマーチ(行進曲)を思わせます。音に煽られたのか、四人のボーカルやラップもまたアグレッシブでとても力強い。もともと僕はBLACKPINKに甘い歌を歌う(あるいはアイドルのような)イメージを持っていなくて、「Kill This Love」を聴いたことで、さらに甘さから遠ざかった感があります。BLACKPINKを含めK-POPスターがアイドル的な人気を博しているのも事実であり、それもまた魅力のひとつではありますが、アイドル的なイメージを破壊する曲を発表するところにK-POPのおもしろさがあります。
EPには、シンセサイザーのリフを強調したEDMらしい展開が魅力の「Don’t Know What To Do」、ボーカルもラップもリズミカルに響く「Kick It」、ギターとベースに乗せて切々と歌うバラード「Hope Not」、ならびに「DDU-DU DDU-DU」をダブステップに寄せたリミックスも収録されています。特に「Kick It」が好きですね。メロディの流れ方や言葉の置き方がとても心地好い。アレンジも工夫されていて、重く響くベースやキックとアコースティック・ギターの対比あるいは落差に心を揺さぶられます。
BLACKPINK makes history on the Billboard Hot 100 chart (dated April 20), as the group’s new single “Kill This Love” becomes the highest-charting Hot 100 hit ever by a K-pop girl group.
The song debuts at No. 41, breaking the record previously held by BLACKPINK’s own “DDU-DU DDU-DU,” which debuted and peaked at No. 55 in June 2018.
Billboard – BLACKPINK’s ‘Kill This Love’ Makes K-Pop History on Hot 100 & Billboard 200 Charts
総じて(…というのは乱暴すぎるとは思いますが)、アメリカのポップ・ミュージックを強く意識しているように感じられるEPです。特にBillboardチャートはポップスの他にヒップ・ホップが大きな割合を占めるので、BLACKPINKの曲が加わっていても違和感がありません。なお、「Kill This Love」は最新のBillboard Hot 100で41位を獲得し、女性K-POPグループにおける最高位を記録したとのことです。すでにシングルを発表すればチャートに顔を出す存在となっており、まだまだ続くワールド・ツアーでさらに大きな存在になることでしょう。
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