TM NETWORK「GET WILD -SICK INDIVIDUALS Remix-」：絶え間ない変化を宿命づけられた曲がダブステップに染まる

TM NETWORKの代表曲「GET WILD」には多くのバリエーションがあります。TM NETWORKの名義で発表したリミックスやリメイクに加え、他のアーティストがリミックスした音源も世に出ています。そのなかでも異色といえるのが、SICK INDIVIDUALSが手掛けたトラックです。このリミックスは、2017年にリリースされたコンピレーション・アルバム『GET WILD SONG MAFIA』や、ストリーミングで配信されている『Get Wild 30th Anniversary Collection - avex Edition』で聴けます。

オランダ出身のSICK INDIVIDUALSは、ダブステップの攻撃的な音を重ねるイメージが強いEDMデュオです。SICK INDIVIDUALS Remixによって「GET WILD」がダブステップらしいダブステップ、EDMらしいEDMに再構成されました。まったく予想できなかった改造です。2013年にwobble bassが入ったことはありますが、TM NETWORKでダブステップによるアプローチはなかったので実に新鮮でした。

SICK INDIVIDUALS Remixでは、♪ミ・レ・ド♪から始まるお馴染みのメロディがソフト・シンセの特徴的な音をまとい、ウツのボーカルを合図に飛び出して聴き手を直撃します。2023年に行なわれたTM NETWORKのツアーで、この部分が使われました。イントロや間奏に組み込まれ、曲を盛り上げます。オリジナルが生み出したキャッチーなメロディと、それを最大限活かしてキャッチーなパーツを作り上げるSICK INDIVIDUALSのセンス。30年の時間を経て結合した音楽的コラボレーションを存分に楽しめるリミックスです。