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Rock songs

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自分がロックだと思う曲の魅力を書き留めます。
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LINKIN PARK Livestream FROM ZERO

2024年8月の終わり、真っ黒なスクリーンにカウントダウンを刻む動画が公開されました。投下したのはLINKIN PARK。新曲発表やライブといった活動は2017年で止まっていました。新しい活動が始まるのかどうか、憶測だけが交錯するなか、僕らはカウントダウンを見守ります。数字が「00:00:00」に到達したとき、今度はカウントアップが始まりました。謎は深まり、カウントが何を意味するのか秘められたまま、やがて新しい動画が予告されます。刻まれた言葉は “be part of som

Gacharic Spin「TAMASHII」:交差するふたつの歌声、たくましく美しい音に宿るバンドの魂

Gacharic Spinの二枚目のシングル「Don’t Let Me Down」には、表題曲に加えて二曲が収録されています。このシングルで二番目に聴ける曲が「TAMASHII」です。アルバムには収録されていませんが、シングルがストリーミングで配信されています。 このバンドを知って最新曲や過去の曲を聴くなかで、第一印象で胸を打たれた曲がいくつもあります。そうした吸引力の強い出会いがあった曲のひとつです。特に僕はエモ系のロック・サウンドが好きで、「TAMASHII」の雰囲気は

藍井エイル「ツナガルオモイ」:想いをストレートに届ける歌声、ダイナミックに展開するバンドの音

藍井エイルの「ツナガルオモイ」は詞曲ともにエイル自身が手掛け、2014年にシングルとしてリリースされた曲です。翌2015年に発表した三枚目のアルバム『D’AZUR』に収録されました。力強くてストレートに届く歌声でエイルが歌う♪ツナガルオモイ 映し出した新しい世界♪というフレーズから曲が始まります。AメロとBメロで溜めたエネルギーをサビに入ってから解放、爆発させ、聴き手の心も一緒に解き放つボーカルです。 歌声のプレゼンスをさらに膨らませるのが、高密度のバンド・サウンドです。開

LINKIN PARK「Pushing Me Away」:ヘビー・ロックを凝縮した音の塊が聴き手を襲う

2000年にLINKIN PARKがリリースしたアルバム『Hybrid Theory』は、デビュー作でありながら評価が高く、バンドのキャリアを通じてライブで定番になった曲がいくつも収録されています。今もなお、LINKIN PARKといえばこの作品を挙げる人が少なくないことは容易に想像できます。 2005年頃に『Hybrid Theory』を初めて聴いたとき、最初に好きになった曲が「Pushing Me Away」です。肉厚なギター・サウンドに埋め尽くされた音楽空間で、音の塊

UVERworld「I LOVE THE WORLD」:ROCK AND EDMの格好良さをバンドが証明した好例

2015年に「僕の言葉ではない これは僕達の言葉」という曲に出会い、そのときにUVERworldの音楽をきちんと聴きました。火傷しそうなロックの熱に心を奪われ、さらに強く惹かれたのが、バンド・サウンドのなかで負けじと己が存在を主張するソフト・シンセの音です。続いて発表されたシングル「I LOVE THE WORLD」は、ソフト・シンセの音を鏤めるどころか、ぐっとEDMに寄せています。 「I LOVE THE WORLD」ではロックとEDMがそれぞれに持つ熱や中毒性が交差しま

LINKIN PARK『One More Light Live』:2017年という特別な一年が凝縮されたライブ・アルバム

LINKIN PARKのライブ・アルバム『One More Light Live』は、2017年のワールド・ツアーの口火を切ったヨーロッパ公演を収録しています。アムステルダムでの録音を中心として、ベルリン、ロンドン、クラクフなどの様子も収められています。 セット・リストはスタジオ・アルバム『One More Light』の曲を中心に組み立てられました。『One More Light Live』のブックレットに書かれた解説を読むと、アルバムを録音する際に、Chester Be

LINKIN PARK『Papercuts: Instrumentals』:音に意識を集中して、曲の新たな一面を浮き彫りにする、別の世界を立ち上げる

長く活動するアーティストの音楽を聴き続けていると、スタジオ・アルバムの他に、ライブテイク、リミックス、未発表曲、デモ音源も楽しめます。加えて、インストゥルメンタルを忘れてはなりません。ボーカル・トラックを抜いたバックトラックは、曲のもうひとつの顔を見せ、新しい印象と楽しみを与えてくれます。ボーカルに向かう意識がすべて音に集中するためでしょうか。 かつてLINKIN PARKはスタジオ・アルバム『LIVING THINGS』と『THE HUNTING PARTY』のア・カペラ

LINKIN PARK『LIVING THINGS』:音の流れ、メロディの流れ、言葉の流れを味わうロック・アルバム

LINKIN PARKが2012年にリリースしたスタジオ・アルバムのタイトルは『LIVING THINGS』。ふとしたきっかけで聴きなおし、その魅力を改めて感じているところです。当時は気づいていなかった音の重なりやメロディの美しさに、今さらながら感動を覚えています。 イントロの後にMike Shinodaのラップが飛び出す「LOST IN THE ECHO」からアルバムは始まります。Mr. Hahnのスクラッチも存分に聴けます。続く「IN MY REMAINS」では、Che

Gacharic Spin「Identity」:音に身を委ねて聴く、メロディに心を預けて聴く

泣きの歌メロと熱いロック・サウンドがぶつかり生み出す輝きは、美しい光を残す火花を思わせる。そうしたイメージを抱く曲がGacharic Spinにはいくつかあります。そのひとつがデビュー・アルバム『MUSIC BATTLER』に収録された「Identity」です。他には「TAMASHII」や「シナリオ」といった曲が僕の中では同じラインにあります。 胸を締めつけるメロディの美しさはサビで極まります。サビに入ると、♪誰だって正解不正解を知って歩いている訳じゃない♪で助走し、直後の

LINKIN PARK「Waiting For The End」:クリアで開放的な歌声が響き、重くて軽やかなリズムに包まれる

LINKIN PARKの「Waiting For The End」は四作目のスタジオ・アルバム『A Thousand Suns』に収録されている曲です。シングル・カットもされました。Mike ShinodaのラップとChester Benningtonのボーカルが並立するLINKIN PARKの直球スタイルが聴けます。なかでも強く印象に残ったのがChesterの歌声です。以前の曲とは少々異なる印象を運んできました。 二作目でいえば「Numb」、三作目では「Leave Out

Gacharic Spin「シナリオ」:美しく羽ばたくメロディに心をつかまれ、心を奪われる

2016年にGacharic Spinの「シナリオ」を聴いたとき、強い力で引き寄せられ、第一印象で「好きな曲だ」と思いました。二枚目のアルバム『確実変動 -KAKUHEN-』に収録されていて、YouTubeに上げられたダイジェスト音源がこの曲との出会いです。 グルーヴィーで熱いバンド・サウンドに美しいメロディとエモーショナルな歌を乗せたロック・ソングです。他のシングルやアルバムに収録された「TAMASHII」や「Identity」といった曲の雰囲気にも通じます。この手の曲を

UVERworld「僕の言葉ではない これは僕達の言葉」:音符からあふれるほどに言葉を乗せ、音のスピード感を後押しする

初めて聴いたUVERworldの曲は、2015年にリリースされた「僕の言葉ではない これは僕達の言葉」です。アニメ『アルスラーン戦記』の第一期オープニング・テーマとして使われた曲であり、そのときに知りました。テレビ用に短く編集されていたものの、その部分だけでも曲の力強さや鋭さが伝わってきます。その後フルレングスで聴くと、起伏はもっとダイナミックで、いくつもの魅力的な音やフレーズに出会えて、印象も感動も刷新されました。 言葉をはっきりと伝えるボーカルが胸に響きます。音符からあ

B’z「GET WILD」:分厚くて濃密なギターと強く鋭く響くボーカルの圧倒的存在感

新たな生命とリスペクトを込め、40周年のCELEBRATIONで包んだギフト。TM NETWORKのデビュー40周年を記念してリリースされた『TM NETWORK TRIBUTE ALBUM -40th CELEBRATION-』に、B’zによる「GET WILD」のカバーが収録されました。 松本孝弘のギターと稲葉浩志のボーカルが聴ける「GET WILD」は、40周年という特別な区切りに届けられた嬉しいギフトです。濃密なギターの音、唯一無二の歌声。エレクトロニック・サウンド

TM NETWORK TRIBUTE ALBUM -40th CELEBRATION-:新たな生命とリスペクトを込め、40周年のCELEBRATIONで包んだギフト

TM NETWORKのデビュー40周年に関する企画のひとつとして、11組のアーティストによるカバー・アルバムが2024年5月にリリースされました。タイトルは『TM NETWORK TRIBUTE ALBUM -40th CELEBRATION-』です。原曲へのリスペクトを感じるのと同時に、各アーティストのオリジナリティが反映された曲が並びます。 参加アーティストのリストを見て真っ先に、そして大いに驚いたのがB’zです。しかもカバーする曲が「GET WILD」というニュースに