とある返信の記録

申し訳ありませんが、おそらく、宣伝によって視野を狭められておられるように思います。
軍事的に、アラブがイスラエルに勝つ可能性は常にあります。
30年前なら、アゼルバイジャンがアルメニアに勝つ可能性はなかった、のでしょうが、今ではその逆になっています。
明日のイスラエルは、昨日のアルツァフ共和国です。
パレスチナの指導者、本来的にはガザ地区の領主ではなく、西岸地区の住民の代表でもあり、ナクバによって追い散らされたパレスチナ難民の代表でもあります。
ソマリアの大統領だが、首都モガディシュにしか統治が及ばない
とか、
パキスタンの大統領の言う事を一部の地方は聞かない
とか、
中華民国の総統だが、大陸に統治権限が及んでいない、
とかの現実はありますが、
ゼレンスキーやプーチンでも抱えている問題でもあり、日本も3方向に紛争を抱えております。

本来的にはガザ地区の領主だけではない、追い散らされたパレスチナの民を救い出すためには、
①イスラエルを叩き出す
②イスラエルの選挙制度を変えて、パレスチナ人の選挙権を獲得する
③イスラエルと交渉して、国境線を引き、イスラエル・パレスチナの2国併存の状況を作り出す
このどれかを目指す、ということになります。
そして、この前提として、
④現在の状況を悪化させないよう、(ガザ地区への)イスラエル人入植地の建設を阻み続ける
が必要になります。

ハマスは、そもそも、元々の出資者がイスラエルそのものであり、
武力闘争によって②和平と選挙制度の改革を防ぐ、
という役割を担っていたように思います。
それは結果として④を担っており、建前としての①も掲げつづけている、ということになります。

そして、諸外国は、①や②は現在のイスラエルという国家がある以上は成立しないだろう、可能性があるのは③だろう、そう考えて、
ガザ地区、ヨルダン川西岸地区をイスラエルの領土としては認めず、そこを2国併存の基盤にしようとした訳です。
ハマスの頂点にいる指導者、ガザ地区の軍事的司令官などとは別に、カタールのホテルに常駐していると聞いております。
ガザ地区の軍事的司令官などは、実際に先月のイスラエルの爆撃で殺害されています。
しかし、軍事組織というものは、常に指揮権限の継承が行なわれ、殲滅されるまでは組織として動きます。
パレスチナの指導者、本来的にはハマスの指導者ではなく、西岸地区を代表する議長のはずです。
実際には、パキスタンが東西に分かれたように、パレスチナも東西に分断され、東側の広い方が既に侵略されています。
今回の先月からの戦いがなければ、サウジアラビアのムハンマド(MBS)皇太子などが、イスラエルとの和平協議を始めていた可能性があります。
これは、多くのメディアが伝えていたことであり、①を唱えるハマスにとっては青天の霹靂ですが、現状維持のまま、諸外国がイスラエルと和平する
(ハマスもパレスチナ人も、無視される)
可能性はあった訳です。
ハマス側にとっては、①が可能だと示す必要性があり、期日が迫っていた訳で、
イスラエル側がこれを鎧袖一触で弾き返すことができれば、事態はここまで悪化しなかったように思います。
実際には、ハマスによる攻撃を真珠湾攻撃と同じように宣伝し、ガザ地区への侵略にお墨付きを得ようとする、馬鹿げた戦略が採用されました。
ネタニヤフは国民から不信感を得て、
サウジアラビアを筆頭とする資源国から、侵略者として、今後の和平交渉を否定されることになりました。

今のアメリカは、キエフへの支援を抱え、ロシアとの対立を抱えたまま、資源国と対立するイスラエルを保護するという難題に直面していますが、
その前に、自国の債務をどう踏み倒すか、という問題にも直面しています。
通貨を刷ることは可能です。
可能ですが、その通貨が余れば、インフレとなって襲ってくる訳です。
ウクライナでの戦闘において注目されている、152㎜、155㎜級の砲弾薬ですが、
ロシアが買い込んだ砲弾薬の3〜4倍の値段で、アメリカの砲弾薬は製造されています。
増産するための工場は、まだ建てられていません。
現在の増産は、工場の改修、操業時間の増加によって試みられています。
しかし、現在のロシアに及ばないだけではなく、北朝鮮の増産にも追い付いていません。
日本を戦争に引き込んでも必ず勝てるような、大艦隊建造計画が事前に組まれていた訳ではなく、
イスラエルの現在の戦略は、失脚しそうなネタニヤフの暴走に思います。

特に非道いのは、
ロシアがウクライナ東部で、
ずっと一貫して、シリアで見せたような荒削りな武力行使を避け、住民保護を打ち出しながらの戦闘継続を行っていたのに、
それを針小棒大に大きく見せて戦争犯罪だと非難していたことで、
現在のイスラエルの軍事行動がどれだけ野蛮であるか、正当性を失っているか、
倍返しで広告することになっていることです。
ロシアよりイスラエルが、圧倒的に野蛮なのです。

自分がパレスチナの指導者であったり、パレスチナの指導者に助言する立場であるならば、
ブラックライブマター(BLM)
を念頭に、
パレスチナライブマター
(PLM)
を訴えるよう、助言します。
認知戦は、「正義」を巡る戦いだからです。
これによって、③だけでなく②を解決策として訴え、ネタニヤフを「邪悪な敵」、イスラエル国家を「ネオナチに影響されている国」として、
ネタニヤフの退陣、パレスチナ人の選挙権込みの併合案、というものを出します。
これに対して、②を飲むくらいなら③で妥協しよう、という反応を巻き起こし、停戦監視団を引き入れる、というのがパレスチナ人側への助言となります。

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