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遠くて、熱い、宮城②

「湯元 不忘閣」――― 伊達家ゆかりの荘厳な殿舎がそびえたつ、
宮城の秘湯。
幕政の栄華を肌で感じる。


潔癖症のリハビリを兼ねたこの旅行。
食事もお風呂も貸し切りなのです。

なんたる贅沢。

広い蔵の中にたたずむ湯舟に浸かり、木の香りとその静けさに心を落ち着かせる。
結露の水滴が落ちる音が大きく響く蔵の中では、令和 東京の喧噪を忘れることができた。

お風呂から上がると待ちに待った夕食。

豪華な懐石料理で日本酒が止まりませんでした。(この後部屋で爆睡)
特にお蕎麦がお気に入りだったなぁ


この旅で、素敵な出会いがあった。

湯上り、日本酒やお菓子が楽しめる休憩室のようなところで休んでいた。
50代~60代くらいのご夫婦が話しかけてくださった。
そのご夫婦は山形在住。
東日本大震災をきっかけに、東北を支援するために、趣味で東北の温泉宿をめぐっているらしい。

特にこの不忘閣が、料理も温泉も最高で、もう何度も訪れているそう。

不忘閣の楽しみ方や、おすすめの温泉、宮城のスポットをたくさん教えてくれた。

話の中で、私が明日、キツネ村にタクシーで行くつもりと言った。

そのご夫婦はもう一泊するらしく、明日は宿にいるからもしよかったら、と
キツネ村に連れて行ってくれることになった。

神。優しすぎる。

プロのペーパードライバーの私にとって、この度のもっともネックであった
タクシーの交通費という問題を一瞬で解決してくれた。

さっき知り合ったばかりの大学生にこんなに優しくしてくれるなんて…

松たか子似の奥様は、怖かったり気まずかったら無理しなくていいのよ、
と言ってくれた。

優しい。
ご夫婦に幸あれ。

翌日の朝の約束をして、各々部屋に戻った。

翌朝は女将による殿舎のツアーに行ったほうがいいよ、
中は寒いからコートとマフラー忘れないようにね。
と教えてくれた。


翌朝の朝食。湯豆腐をはじめとしたたくさんのおかずと、
種類や炊き方が昨晩とは違い、甘めで柔らかさのあるお米を
もりもり食べた。
おひつに入っているご飯は残したくないから、
普通に完食した。(約1.5合。恐ろし)


そして念願のキツネ村!

私はムツゴロウなので、キツネももちろん大好きです。

キツネ村は、動物園ではありません。
柵がなく、100匹以上のキツネが自由に動き回ることのできる場所。

ほぼ野生に近い彼ら彼女らの生活は、動物園のように優しいものではない。

キツネ村の中では、血の跡を見ることもある。
キツネ同士のけんかを見ることもある。

厳しい環境下で生息するキツネを間近で感じることができた。

しかし、雪の中で見るキツネたち、
めっちゃファンタジーだった…


東日本大震災やコロナ禍を経て、大きな変革期の中にあった東北。

人のやさしさと、動物や自然のきびしさ。

普段、東京での暮らしに慣れてしまうと気が付かないものを、
たくさん思い出させてくれた。


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